お厚いのがお好き?


壬生義士伝(上下巻)・浅田次郎(文藝春秋)

 時は幕末。壬生浪と呼ばれた新撰組の中に、南部藩(今の岩手県)を脱藩した一人の男がいた。北辰一刀流免許皆伝・吉村貫一郎、その人である。吉村は文武両道に優れた武士だったが身分が低く、収入も二駄二人扶持。妻子を養っていけずに脱藩し、新撰組で得た金を郷里に送る日々である。しかし、新撰組は鳥羽・伏見の戦いで大敗。吉村が傷つきながら向かった先は、自分が脱藩した南部藩邸だった──。
 吉村は南部藩邸で、幼なじみでもあり親友でもあった大野次郎右衛門と再会する。しかし大野は蔵屋敷差配役という責任ある立場になっており、吉村に切腹を命じた。吉村の長い回想と、後年吉村の足跡を辿る誰か(これが明らかにされないのが不満!)の取材が交互に紹介され、幕末の壬生浪・吉村貫一郎が浮き彫りになってく。
 歴史好きなら、読まずには済まされない。頑ななまでにまっすぐな気性は、当時の東北の人々に共通するものなのか。士道を重んじる気持ちと、妻子のために卑屈なまでに金を欲する気持ちがないまぜになった吉村。時代という化け物の中に飲み込まれ、自らの郷里を捨てながらも、「盛岡は日本一きれいなところだ」といい、郷里を愛し妻を愛し子供を愛する。そして、その子供も父の行動に反発しながらも、秋田攻めや五稜郭へと身を投じていくのである。
 時代を描くことによって、人間を描く。人間を描くことによって、時代を表す。歴史小説とはかくあるべきではないか。それにしても、方言ってのは卑怯だなぁ(笑)。涙の量が倍になるぞ。下巻の序盤、会津藩と行動を共にしていた新撰組隊員・斎藤が戊辰戦争に敗れて戸南へ流される時に、盛岡を通る。そこで、地元の子供が叫ぶのだ。「会津のお侍さまっ、わしらは城下も焼かれず、御城も攻められずに負け申した。おもさげなござんす。どうかどうか、お許しえって下んせ」──ああもう、こっから先は泣きっぱなしである。とりあえず、歴史好きは読まねば損だ。 (00.8.2)      

悪霊の群・高木彬光・山田風太郎(出版芸術社)

 「邪馬台国の秘密」などで有名な名探偵・神津恭介と、「帰去来殺人事件」でお馴染みの探偵医者・荊木歓喜。高木彬光と山田風太郎という2人の巨匠が、自らの作品を代表する名探偵を共演させて描いた、レアにしてファンには興奮モノの合作である。もともと昭和26年から翌年にかけて「講談倶楽部」で連載されたもので、1964年(げ、あたしの生まれた年じゃないか)の東京文藝社版を最後に、ずっと「幻」とされてきた作品が、36年ぶりに出版芸術社から復刊されたワケだ。
 さて、内容はというと、《目をえぐり出された死体が連続して発見され、その近くにはいつも同じ扮装の女の影があった》という、当時にしては実に猟奇的スリラーである。連載モノというだけけあって、山場見せ場もそこここに作られて飽きさせない。新聞記者・真鍋を狂言回しに、まずは荊木歓喜の出番。そして最後に満を持して神津恭介が登場する。なぜ神津恭介が最初から出ないかというと、彼はニューヨーク留学中だったというのだ。(そういえば「わが一高時代の犯罪」に留学云々という話が出てきてたような気がする。)それに笑えるのが、ニューヨークでの彼の住所なのだ。「ニューヨーク・レキシントン街五七〇番地、ダネー・リー氏方」! ぶわっはっはっは\(^o^)/。さすが神津恭介、そんな交友関係があったとは。なんだか著者の茶目っ気が見えて、妙に嬉しい。
 とまれ「古き良き日本の探偵小説」である。めっかちだのちんばだの「おほほほ」と笑う女性だの、今の作品ではお目にかかれない描写がいっぱいで、そこが何ともノスタルジックで雰囲気がある。この時代の探偵小説はやっぱりいいなあ。なんか、時代の「匂い」があるんだよね。
 でもまぁ、面白いのは事実だけど、何だかそんなことはどうでもいいような気がするのだ。だって神津恭介と荊木歓喜の共演なんだぞ? 高木彬光と山田風太郎の合作なんだぞ? もう、それだけで充分じゃないか。 (00.8.4)      

桜さがし・柴田よしき(集英社)

 京都を舞台に繰り広げられる幼なじみ四人の恋模様と謎解きミステリ。四人の恩師である元教師や、それぞれの思い人なども絡んで、実にしっとりとした品のいい連作ミステリに仕上がっている。この著者はサスペンスものもいいけど、こういう静かな話もいいなあ。どの話にも植物が絡んでくるあたり、澤木蕎の「いざ言問はむ都鳥」を思い出す。あれも静かで品のいい話だったな。植物には何かそういう効果があるのかも。それら植物(中には動物もひとつある)が推理のヒントになるんだけど、その性質は誰でも知ってるってもんじゃないだけに、読者も一緒になって推理が楽しめるワケじゃないし、膝を打つ快感もチト薄い。しかし、それでいいのだと思う。謎を解いて「ほら、びっくりしたでしょ」というタイプの話ではなく、静かにして雄々しい京都の風物詩と、そこで悩み、傷つきながらも前向きに生きていこうとする若者達の物語なのだから。
【一夜だけ】ヒトヨダケ、というキノコの名前が最高の小道具。
【桜さがし】あたしゃ岩手の石割り桜を真っ先に連想したが、京都にもあるのね。
【夏の鬼】シンプルな謎なんだけども、一ノ瀬クンと飲み屋の女将が実にいい。
【片思いの猫】夏美が最後にした選択が痛い。その気持ちが分かってしまうのが尚痛い。
【梅香の記憶】真相が分かった時に、ちょっとゾクリとする話。
【翔べない鳥】問題になった鳥の名前の由来がとても面白い。なるほどねー、五位、か。
【思い出の時効】事件そのものよりも、やはりまり恵と綾の決意が物語の主眼。
【金色の花びら】歌義の決意。ちょっとスイートに過ぎる終わり方だったかな(笑)
(00.8.4)      

溺れる魚・戸梶圭太(新潮社)

 万引きで捕まった女装癖のある警官・秋吉。横領が発覚した肉体派の警官・白州。彼ら2人は当然懲戒免職を覚悟していた。ところが、呼び出された2人には「極秘任務を遂行してくれれば、今回の不祥事は不問に伏す」という知らせが。その任務とは、あるエリート公安警部の内偵だった。──
何が面白いって、大手DPEチェーンが《溺れる魚》から受けた脅迫の内容がメチャクチャ面白い。なるほど、こういう脅迫があるのか。そして、その事件と、秋吉・白州の2人組み、エリート公安警部らが結びついた時、とんでもないチェイスが始まるのだ。これぞB級エンターティメントである。
 なんせ筆力があるので、ぐいぐい引き込まれる。脇役の一人一人に至るまで丁寧に書き込まれていて、人物が駒としてではなく、顔を持った人間として出てくるのである。その描写の仕方も秀逸で、ルックスやしゃべり口、性格までもが書かれた文章以外のことまで浮かんでくるくらいだ。ディーテイルの表現が巧いんだろうなあ。大勢での乱闘やチェイスのシーンなんて、普通ならドタバタしてるだけで文章ではなかなか巧く表せないものだと思うけれど、それをここまで克明に描くとは。
 惜しむらくは、デビュー作
「闇の楽園」ほどの破天荒さがなかったってことか。パワーやテンションがちょっと下がったとでもいうか。もっとハジけてくれても良かったのに。それに、全てが終わった後で結局金を手にしたのは……というあたりが、どうもスッキリしない。どうせなら、静香に全部渡って借金帳消しになった方が読後感が良かったのでは。読み終わってスカッと爽快、という形にした方が作品の雰囲気に合ってる気がするんだけどな。 (00.8.5)      

殺竜事件〜a case of dragonslayer・上遠野浩平(講談社ノベルズ)

 とある紛争の調停が行われる予定になっていた独立都市で、絶大な知能と力を持つ竜が殺された。神聖にして侵すべからざる竜がいるからこそ調停の場所になったのであって、このままでは紛争の調停などできない。殺せる筈のない竜は、誰に、なぜ、どうやって殺されたのか? 調停役のED、《風の騎士》ヒースロゥ、そして特務大尉のレーゼの旅が始まる。
 とにかく、ストーリーテリングは抜群に巧い人だなぁという印象。この手のファンタジーというか《異世界モノ》はどうも苦手で、最初は我慢して読んでたのが2章あたりから徐々に引き込まれ、そのまま一気に最後まで突き進んでしまった。人の動かし方や演出など、あざとさスレスのところで止まり、面白いエンターティメントに仕上げている。特に、最後に明かされる竜の「死因」──これは見事という他はない。その状況の切なさに胸がしめつけられる。
 ただ──あたしが《異世界モノ》が苦手な理由でもあるのだけれど、魔術だの呪術だの竜が普通に存在する世界で、なぜ人間の姿形は《こちらの世界》と一緒なのだろう? 或いは、時間の単位が、月・日・時間・分・秒という風に《こちらの世界》と一緒なのはどうしてだろう。《竜》と書いてはいるが、その形状がどのようなものなのかも良く分からないし──言い出すと切りがない。例えば、この本の世界には存在しない筈の《ピストル》、それを偶然《あちらの世界》から入手して。でもその正体が分からないから別の名前をつけてるわけでしょ? それ以外のモノはどうして《こちらの世界》と同じ名前や文化になってるのかが不思議なのよ。おまけに《ピストル》の本来の使い方も正確には分からず、名前も勝手につけてるのに《撃鉄》なんていうパーツの名前はいきなり正確に出て来るし。
 ファンタジーって、世界観がどこまでしっかりしてるかが大事だと思う。そこが、恣意的というかご都合主義になってしまうと、ちょっとシラけてしまうんだよなあ。《こちらの世界》の人間が異世界に迷い込んだりする設定なら、まだ《こちらの世界》の単語で説明されるのも納得するんだけどな。このあたり、上手にクリアしてたのは、向山貴彦(宮田香里・絵)の
「童話物語」。うん、あの話はこういう点の処理の仕方が巧かった。 (00.8.6)      

パンドラ's ボックス・北森鴻(カッパノベルズ)

 これまであちこちに掲載してきた短編を一冊にまとめ、それに著者のエッセイを付けたというサービス版。あたしは基本的に、作家が自著を解説するってのはあまり好きではなくて、言い訳とか評価への反論とか、そういうのだったら読みたくないなあと思ってたのだけど、さすがは北森鴻、こういう《読者を楽しませるための》解説なら大歓迎だ。
 情けなくも面白いエピソード満載で、一番笑ったのは「尊敬する作家は」というインタビューに「池波正太郎と隆慶一郎」と答えてしまったというくだり。わはははっ\(^o^)/。インタビュアーが困った顔で「あの……他には」と問うのを聞いて気が付き、ようやく鮎川哲也の名前を出したという。鮎川哲也賞受賞作家なのに(笑)。こういうあたり、いいよなあ。本格ミステリを書く推理作家でありながら、抽んでた文章力と巧みな構成力は、こういう読書歴・読書嗜好の賜ではなかろうか。
【仮面の遺書】光文社文庫「本格推理1」所収。公募による、実質的デビュー作。
【踊る警官】光文社文庫「孤島の殺人鬼」所収。これ、イチオシ! 展開の意外性が見事。
【無残絵の男】会話のテンポがいい。落語でやりたい一品。
【ちあき電脳探偵社】「小学三年生」所収ってことだが、習ってない漢字もルビを振って掲載っていう方法は取れないのかなぁ。「すい理」とか「探てい」とか、子供向けだからこそ漢字と一緒に理解させて欲しいのに。
【鬼子母神の選択肢】有馬次郎と折原けいシリーズ。いかにもシリーズにします、というキャラ(笑)。
【ランチタイムの小悪魔】永井するみ氏の
「ランチタイム・ブルー」に出てきそうな話。
【幇間二人羽織】「贋作館事件」に収録された、久生十蘭の顎十郎モノのパロディ。
(00.8.12)      

石ノ目・乙一(集英社)

 21才かよ、おい。確かに、ところどころに《借り物っぽい青さ》はあるんだけども、それでもかなりのモノだぞ。ぐいぐい読まされてしまうぜ。作風が固まっていないのにも好感を持つ。このまま伸びていったらどうなるんだろう。今後が楽しみ。うん、特にジュブナイルがいいかも。
【石ノ目】顔を見ると石になってしまうという妖怪「石ノ目」。私が迷い込んだのは、その石ノ目の家だった。石になってしまうから、こっちを見るなと言われて──。石ノ目の正体は恐らく誰もが予想する通りなんだけど、話のディーテイルが凝ってて面白い。
【はじめ】いたずらをごまかすためにでっちあげた「はじめ」という女の子。作り話だったのに、いつか「はじめ」は本当に表れるようになった──。幻覚が、自分を幻覚だと分かってるっていう設定がすごいなあ。成長し、考え、悩み、人を助ける幻覚。あまりに切ない。ああ、子供の頃に読みたかったなあ。
【BLUE】ぬいぐるみ作家が骨董屋で見つけた不思議な布。その布で作った五体のぬいぐるみは命を持っていた──。はからずも涙ぐんでしまいましたことよ。童話「幸福の王子」を思い出した。実際、童話としてはありがちな話なのかもしれないけれど、王女の二面性にはドキリとさせられるし、所々に除く毒が怖い。それだけにBLUEの純粋さに泣かされるのだ。子供に読ませたいぞ。
【平面いぬ。】高校生のわたしが軽い気持ちで腕に彫った犬の刺青。家族の病気の知らせを聞いた頃から、その犬が鳴き始め、そして──。「そんな揃って病気になるか?」なんて事は言ってはいけないのだ。そういう設定も「あり、だな」と思わせてしまうのが、この淡々と進む文体である。一人称なのに、あまり感情が前面に出ることはない。それが一カ所だけ感情的になるのは、助けて貰えると思った相手に刺青をなじられたシーンだ。平面いぬを心情的に受け入れた瞬間だけ、感情が爆発する。うーん、こういう手管を無意識に使ってるのかなぁ筆者は。
(00.8.12)      

ネバーランド・恩田陸(集英社)

 冬休み、家に帰らず男子校の寮に残った3人の少年。そこに一人のクラスメイトも加わり、4人の《休み》が始まる。個性的な4人の少年がそれぞれ持っている問題を叙情的に描いた、透明感あふれる物語。
 やはり、巧い。映像がぱぁっと浮かんで来るような文章と、魅力的な少年達の描写のせいで、あっというまに物語に取り込まれる。ぐいぐい引き込まれて、途中で本を置かせないパワーを持っている。最初に紹介される統のエピソードはとっても本格推理っぽいんだけど、そこから先はミステリというよりも青春小説だ。子供の頃の経験が元で彼女と別れた主人公。親の離婚に振り回される寛司。誰よりもオトナで温厚だと思っていた光浩の隠された真実。
 それぞれの問題が、冬休み前半の一週間で急展開を見せる。きっかけは、4人が互いに「自分の事を話した」こと。自分の問題と他人の問題は決して交わらないが、それでもどこかで関わり合って行こうとする少年達。うーん、いいなあ。特にラストの年賀状のくだりは秀逸だ。
 ただ──読んでて、ずーーーーーっと気になってたんだけど、男子校の寮生活って、こんなキレイじゃないだろ(笑)。(と思ったら著者もあとがきで、実際の寮の話を聞いたがあまりに美しくない実態に、参考にしなかったと書いてる。さもありなん)何となく、どっか別世界の出来事のような感じがするぞ。ほら、よく少女マンガに出てくる男の子たちって、スネ毛が無いでしょ? なんか、それに近い気がするのよね。少女マンガっつーか、少女小説っつーか、そういうリアリティのなさがちょっと気になって……。男子校の《美しくない実態》の中では、この話は書けない、のか、なぁ。 (00.8.12)      

依存・西澤保彦(幻冬舎)

 匠千暁シリーズ。白井教授のお宅でルルちゃんの誕生日パーティをすることになった、いつもの面々。しかし、その前から事件とも言えない妙な事件が起こっていた。そして、パーティ当日にも──謎解きミステリではあるけれど、シリーズの中にあってそれ以上に大きな事象を描いた作品である。
 いや、文句はあるのだ。これまでのシリーズを知らない読者にはちょっと辛い部分もあるし、あとになって冷静に考えると、構造上スッキリしない箇所もたくさん見えてくる。タックの述懐とルルちゃんの事件を、こんな構成で並べて描く効果はあったのか、とか、どうせこういうふうに章割をするなら、章ごとに一つ謎解きがあればいいのに、完結する章としてない章とがあるのは気持ち悪いな、とか、あれだけ引っ張っておいて《対決》のシーンは互いに告白しあってタカチが啖呵切って終わりかい、話はここからじゃないのかとか。
 しかし、ここまで文句を言いながらも、お薦めマークをつけてしまうほどの、求心力があるのだ。特に、タックの事件の方に。だいたいがこの作者、アダルトチルドレンを書かせたら天下一品である。上記のような構成上の問題点は多々感じながらも、それは「読み終わった後で考えてみたら」という話であって、読んでる最中はそんなもの気にしてるヒマがないくらい、物語世界にぐぐぐーっと引き込まれる。それが、構成だ何だより最も大事な部分であり、つまりは魅力があるということなのだ。タックとタカチはどうなるの、ボアン先輩はどうなるの、と逸る気持ちを抑えながらワクワクしてページをめくる楽しみ。読みながらゾクリとしたりニヤリとしたり。そんな、小説として最も大事な部分をこの物語は押さえている。だからこの作家は、このシリーズは、侮れない。 (00.8.17)      

女王の百年密室・森博嗣(幻冬舎)

 百年後の世界が舞台のSF仕立てのミステリ。サエバ・ミチルは旅先で道に迷い、相棒であるロイディと共に、ある街(国?)へ入る。そこはミチルの常識から考えると、理解しがたい事象や習慣が多く見られた。最も違っていたのは《死》に対する認識。そんな中で、事件が起こる──。
 ディテールはさすがだなぁ、と唸ってしまう。「時は西暦××年、○○の時代は終わりを告げ、世は△△になっていた」てなふうに始めるのではなく、ミチルの体験やセリフから時代状況を分からせるようにしている。それも一向に説明的ではなく。これはかなり巧い手法だし、さすがに設定がしっかりしてるので読者も架空世界(強ち架空でもないか)へスンナリ入れる。
 ただ、ミチルの心象風景っつーか感じたことっつーか、それを断片的且つ映像的な語で、改行を多くして描くっていう手法については、ちょっと辟易した感もあり。最もリアルな描写なのかもしれないけれど、小説という世界の中では読者が(というより、あたしが)追体験しにくいのだ。だもんで、舞台にスンナリ入れた割には、ミチルにはなかなか入り込めなかった。
 密室もなあ……あ、そういうのも有りですね、とは思うのだけれど。それより、最後の最後になって、ミチルの正体とロイディとの関係、街のなりたちが明かされるのが、何とももったいないじゃありませんか! 密室よりも、こっちの方がインパクトあるし絶対にメインだと思うんだけど、これでは何だか付け足しのように思えてしまう。最後になって、存在に気付いてなかった問題の答だけ出されたような感じで。あたしの読解力の無さですか。あうう、もったいない。
 しかし、何に笑ったって、前の時代に膨大な富を得た2人の人間の名前が、マイカ・ジュクとビー・ジーだってことだ。うわはははっ\(^o^)/ 遊んでるなあ。先に出てくる前者の名前だけではピンと来なかったけど、終盤で名前を並べてみたら大笑いである。しかし、これでぐぐっと「あ、もしかして有り得るかも」と思えるようになったぞ。 (00.8.18)      


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