お厚いのがお好き?


ペルソナ探偵・黒田研二(講談社ノベルス)

 予め言っておくが、友人だからお薦めマークをつけてるワケでは断じてない。これは素直に、あたし好みの話なのである。
 作家志望のメンバーが集まって作る同人誌「スターチャイルド」。この同人誌はインターネットを通じて知り合った、顔も本名も知らない者たちによって成り立っている。彼らの接点は週一度のチャットだけ。そんなメンバーが、自分の出会った不思議な事件を小説にして紹介する──。
 ひところの東京創元社にありそうな(笑)、連作の形をとった長編である。それぞれの章は単独で見事なパズラーになっているが、章の合間に挟まれる意味ありげな断章が「このままでは終わらないぞ」という匂いをプンプン漂わせる。が、まぁそれはひとまず置いといて。各章で語られる個々の物語が実に多彩で、読んでいて楽しい。【フィンガーマジック】の細かくもシンプルなトリック、【殺人ごっこ】の笑っちゃうような伏線、【キューピッドは知っている】の練りに練られた構成。そして最終章は──まぁ読んで下さい。個々の短編のレベルに決して劣らず、みごとに着地させている。思わず前を読み返して膝を打つ箇所も多いし、真相が分かった瞬間、世界がくるりと反転する快感とカタルシスがある。個人的には【キューピッドは知っている】の仕掛けが一番好きかな。ちょっと笑っちゃうような、この著者らしいバカな仕掛けもあって(笑)、だけどきっちり技巧を効かせて。
 
デビュー作のような派手さはないけれど、ぐっと洗練されたエレガントなパズラーになったと言えよう。長編より、こうして短編〜中編を重ね合わせる手法の方が、この著者には合ってるような気がするな。
 この著者のデビュー作以来の問題点は、トリックや仕掛けの技巧レベルが高いのに対して、文章力・描写力が追いついていかないというところにあったのだが、今回は反則と言ってもいいような手法でそこをクリアされてしまった。なんとなれば──作家志望ってだけのド素人が書いた小説っていう設定なんだもんなぁ(笑)。むしろヘタなくらいが自然だよなぁ。わははは、やられた。だったらせめて、もっと4人の文章や作風の個性をハッキリさせて欲しかった気はするけれど。しかし、もうこの手は使えないぞ(笑)。
 ところで、デビュー作あの人がチラリと出てるのに気が付きました?>読んだ人。 (00.11.4)     

壷中の天国・倉知淳(角川書店)

 知子は父と娘の3人暮らし。ある日、仕事の付き合いで断りきれなかった集会へと出かける。電波塔の建設反対の集会だ。そこで知子は見知らぬ女性から、近所の人を糾弾するビラを受け取った。そしてその後、その町を震撼させる事件が起こる──。
 もう、読み始めると一気である。長い話なんだけど、全然飽きない。知子の家庭の描写がリアルで生き生きしてるのもいいし、知子の幼なじみであり娘の絵画塾の先生でもある正太郎も魅力的だ。個々の事件の描写も緻密で、手に汗を握る。そして謎解きは、思わず前のページに戻ってひとつひとつ伏線の確認をして、「ああ、ここだったのかぁ!」と膝を打つ。確かに、この推理はかなり牽強付会だし、真相を知らされても「おいおい、そりゃぁ分かるわけねーだろ」と思うし、真犯人の正体にしてもちょっとカタルシスがないし、謎解き部分に関しては不満も多いのだ。多いのだけど──まぁそこんとこはいいや、という気になるのである。だって、話が面白いんだもん。とにかく吸引力がメチャクチャ強い話。
 著者がやりたかったこと、言いたかったことってのは、この謎解きやパズラーではなくて、オタクについての一連の話だったんじゃないだろうか。そこが一番読みごたえもあったし、心を揺さぶられた。それを登場人物に直接言わせちゃうってのが手法として直截に過ぎるかなという気はするけれど、それでもテーマは充分すぎるほど伝わり、いろいろと考えさせられた。頭の固い人にこそ読んで欲しいなぁ、これ。
 ただ、そのテーマの部分とパズラーの部分の融合の仕方がなぁ……ちょっとバラバラな印象を受けた。訴えかけるテーマを持った普通小説と、伏線ばりばりの緻密なパズラーと、一粒で二度美味しい小説だったという捉え方もできるけれど、個人的な好みとしては、謎解きがそのままテーマに貢献するような、テーマとパズルが互いに互いを支え合ってるような、そういうふうに融合されてると嬉しかったんだけど。 (00.11.3)     

もう一人の私・北川歩実(集英社)

 「もう一人の私」をテーマにした短編集。すごいなぁ、同一テーマでこれだけバラエティに富んだ話を書き上げるなんて。
【分身】事故で身体の機能を失ってしまったイトコとそっくりな僕。そして──「これ、いくらなんでも無理だろ」と思ってたら、おおお、なるほど!
【渡された殺意】これねぇ──仕掛けがどうのこうのと言うよりも、主人公の思いが、そしてその周辺の人の思いが、たまらなく切ない。切なくて哀しくて、一番印象が強かった一編。
【婚約者】うわあ、巧い話運びに脱帽。ただ、この女性の描写はなぁ……感情的にイッちゃった女ってのは読んでて楽しくないんだけど。
【月の輝く夜】これもある意味、ものすごく切なくて哀しい話なんだけど──でも、あまりのギャップにちょっとビックリ。一番《意外な真相》だわ、これ。
【冷たい夜明け】読んでるこっちは冷静だから「どうしてそんなバカな話にひっかかるんだろう」と思ってしまうんだけど、最後には「それでもいいか」と思わせるあたりが筆力。
【閃光】おお、この謎を残して、ほのめかすだけっていうやり方はいいなあ。主人公が自分の噂をドアの外で聞いてしまうシーンは、たまらないくらい悲しい。
【ささやかな嘘】これ、ぜんぜん「ささやか」じゃないぞ! しかしこれも《意外な真相》に驚愕。いやぁ、レベル高いわ、この短編集。
【鎖】こういう会社って実際にたくさんあるらしいぞぉ(笑)。
【替玉】話の展開が実に面白い。なるほど、と思いながら読んでると、二転三転、そして最後にブン投げられた。巧いなぁ。この短編集、総じて二者間での駆け引きを読ませるのが巧いんだな、この人は。
(00.11.5)     

おせっかい・松尾由美(幻冬舎)

 あらすじ紹介は勘弁してくれ。どこをどう話しても興を削ぐような気がしてならないのよね。ただ、ファンタジックにして本格パズラーの要素も強く、滑稽にして切ない、とにかく引きつけられる作品だった。
 責任感の強い中年男性・古内繁が、入院中にふと体験した不思議なできごと。のちのち、それをもう一度体験したくて、あれこれ試す。彼の元部下である柳と日比野というカップルも、彼に協力する。そして──
 とにかくスットンキョーな話なんだけど、現実にはあり得ない話なんだけど、それが何故かとてつもないリアリティを持って迫ってくるのだ。それは多分、その「現実にはあり得ないスットンキョーな話」が、古内や柳や日比野を浮き立たせ、彼らの内面にまで踏み込んでいく、いわば廊下のような役目をしているからだろう。もちろん「スットンキョーな話」は、それはそれとして魅力的でワクワクする。だけど、話の焦点がそこではない、ということが次第に分かってくる。誰もが抱えている弱さ、孤独。そして誰かが救ってあげられる弱さ、孤独。
 鋭いナイフの刃のような、残酷な展開もある。思わず笑ってしまうような、滑稽なシーンもある。なるほどと膝を打つ、本格パズラーの醍醐味もある。そして、読み終わって「ほぉーっ」と溜息をついてしまう充足感。
 うん、この話を内容に極力触れないようにして説明するなんて、不可能なのよ。というより、こんな紹介文を読んでるくらいだったら本編を読みなさい。あ、でも、もしかしたら読者を選ぶ話かもしれない。テーマのはっきりした、現実に立脚した話じゃないと受け付けない人は、ちょっと戸惑うかも。むしろ、本格推理やSFの好きな人向けかな、という気がする。 (00.11.6)     

大いなる聴衆・永井するみ(新潮社)

 ロンドンを拠点に活躍している世界的ピアニスト阿積界。彼の音大時代の友人だった千堂紫は、彼を日本に招いてのコンサートを企画する。しかし、本番当日になっていきなり曲目変更を言い出す阿積。その挙げ句に彼は演奏に失敗、酷評され──突然の不可解な展開に紫は戸惑うが……。
 おおお、面白い面白い。脅迫の仕方や内容は岡嶋二人氏の「タイトルマッチ」を彷彿とさせるものがある。また、芸大からピアニストの世界にかけてという舞台設定には、森雅裕氏の世界を思い出させるものもあり、岡嶋二人ファンであり森雅裕ファンでもあるあたしにとって、これはもう格好の撒き餌となった。
 誘拐・脅迫という物語の始まりもいいが、何と言っても話の展開がスリリングだ。意外な真相はもちろんのこと、意外な展開、めくるめく展開にページをめくる手が止まらない。主要登場人物がものすごく限られてくるので、誰が犯人であってもあまり驚きはないだろうと思っていたのだが、そして確かにその人物というだけではさしたる驚愕もないのだが、そこに至る過程がもう……恐怖すら感じるほどの、切なさが押し寄せる。才能というものは、道を極めるということは、時としてかくも残酷たりえるものなのか。
 人物もいい。千堂紫なんてあーた、「あう、会社員時代のあたしも似たようなところがっ!」と顔が赤くなってしまった。「自分が世界で一番頑張ってると思ってる」……うわはははは、多い、多いぞこういう人。もって他山の石となす。音楽という馴染みのない世界に生きる人々も見事に描かれており、一般人からしてみたら狂気ともとりかねない彼らの発想や考えが、物語の芯に強靭な力を与えている。
 そして何より──ラスト一行には背中が寒くなった。紫の気持ちがラストに向けてだんだん高まってくるだけに、強烈にして何とも切ないエンディングである。最後まで読んで、思わず「うわぁ……」と嘆息してしまった。 (00.11.9)     

カルチェ・ラタン・佐藤賢一(講談社)

 16世紀のパリ。セーヌ河左岸に広がる学生街、カルチェ・ラタンを舞台に繰り広げられる歴史ミステリ。当時の夜警隊長であるドニ・クルバンの手記を作家・佐藤賢一が翻訳出版するという体裁で書かれている。「泣き虫ドニ」ことドニ・クルバン、彼の学生時代の家庭教師にして、カルチェ・ラタン一の頭脳と美貌を誇る傍若無人の天才マギステルであるミシェル。この二人のコンビが連続して起こる事件を解くわけだが、その裏には──。
 中世フランスを舞台に佳作を発表し続けている著者の最新作。中世フランス版「学生街の殺人」とでも申しましょうか。著者にとって初めてのミステリーでもある。それも、けっこう真っ当な本格だったりする。というのも、探偵役のミシェルは美貌のエリートにして天才、貴族の後ろ盾もあり、女にももて、だけど傍若無人の変わり者。一方ワトソン役のドニは泣き虫で人一倍鈍い。探偵役の向こうを張ろうとして慣れぬ推理を展開するが、もちろん大ハズレ。探偵のあとについて右往左往するのが関の山──とくればもう、これ以上はないってくらいの定番コンビではないか。
 まぁ、そういう探偵モノ・謎解きモノとして読んでも面白いのだけれど、やはりベースには当時の神学の考え方があり、パリの政治制度に立脚した行動原理があり、キリスト教をもとにした価値基準がある。いや、それが全てと言ってもいい。探偵達は、その考え方・行動原理・価値基準の中で推理して戦うわけだ。そういう意味では謎解きのカタルシスは薄いが、その分、エンターティメントとしては申し分ない。これまでの作風に比べて、軽いというか明るいというか、まぁちょっとした違和感はあったのだけれど、読み物として面白いのだから文句はないのだ。 (00.11.10)     

薔薇盗人・浅田次郎(新潮社)

 短編集。「泣ける」というのが惹句の定番になった感のある浅田氏だが、ここに収録されてるのはいずれも「泣ける」ような話よりも、寧ろ発想の妙味というか、仕掛けや構成に凝った「巧い」という感じの短編が多い。
【あじさい心中】リストラされたカメラマンと、場末のストリッパー。うーん、哀切は充分伝わってくるし、いい話だなぁとは思うんだけど……これってカメラマンの女房の立場になると、腹が立つ。カメラマンが後のことを考えて「問題はない」と結論するシーンがあるが、メチャクチャ問題あるぞ。
【死に賃】臨終の苦しみから逃れられるとしたら、幾ら払いますか? うん、面白い設定だ。最終的に切ない恋愛ドラマになっていくのも好み。終わり方もいい。
【奈落】箱のないエレベータに転落して死んだ男。彼が死んだ本当の理由とは? 全編、会話だけで構成されたミステリタッチの作品。
【佳人】うわはははは、思わず笑ってしまう掌編。いや、読んでる最中で「ひょっとして──」とは思ったのよ。思ったんだけど、まさかこういう風に締めくくるとは。
【ひなまつり】おおお、これは「泣かせの浅田」ならではだ! 「おとうさんを下さい」でじーんと来てしまった。薄幸な子供ってのは卑怯だよなぁ(笑)。おまけにまだ日本に貧乏らしい貧乏が残っていた昭和30年代終わりが舞台だなんて……よよよよ。お薦め。
【薔薇盗人】船乗りの父親に当てて書いた息子からの手紙。その手紙が順序通りに紹介されていくだけなんだけど、その手紙が伝えるモノは……わはははは、いや、笑う話じゃないんだけど、これってあたしにはコメディに思えて仕方がないのよ。逆アンファンテリブルとでも言うか、無垢な魂って怖いわね、とでも言うか。読者だけは気づいていて、手紙の書き手は何も気づいてないってのは面白いなぁ。これもお薦め。 (00.11.11)     

オカメインコと雨坊主・芦原すなお(文藝春秋)

 おお、何だかオトナのファンタジー、オトナの童話という雰囲気。いいなぁ。
 ある日、間違えて乗ってしまった汽車。その汽車の終点で降りた私は、そこで学校帰りの少女と出会う。少女は祖母と二人暮らしだった。街が気に入った私は彼女らの家の離れを借り、その街で生活を始める。街ではさまざまな出逢いがあった──。
 主人公は既に中年というより壮年と言った方がいいような年齢の絵描きである。そんな彼が住み始めた街で出会う人々は、暖かかったり、やさしかったり、おしゃまだったり、懐かしかったり。おまけに一度ならず幽霊にまで出会ってしまう。といっても、どこか別の世界の話ではないのだ。主人公が最初に出会う少女は、ヤケに年寄りじみたセリフを吐くおしゃまな女の子。主人公の友人となったアイルランド出身の英会話講師は、不思議な魅力があるが女に惚れっぽいのが玉に瑕。出てくる人出てくる人がみな、現実にはいなさそうで、でももしかしたらいるかもしれない、と思えるような人達。それはひとえに街の魅力に繋がり、この街に住みたいと思わせてくれる。人も、街も、どこか懐かしいのである。
 短いエピソードが何話か綴られているだけで、手に汗握る展開もないし、あっと驚く驚愕の真相もない。ただ、淡々と優しいのだ。小さな悲しみや、心奮わせるさびしさ、思わずクスリと笑ってしまうようなおかしみ、哲学的にすら思える会話──そんなものがたくさん詰まった、宝箱のような物語である。読み終わったら、何だか自分がいい人になったような気がした。 (00.11.12)     

倒錯の帰結〜首吊り島・監禁者・折原一(講談社)

 「倒錯の死角」「倒錯のロンド」に続く、倒錯三部作の完結編である。本書は装丁で分かる通り、表からも裏からも読めるというもの。表(と言ってもいいのかな)からは【首吊り島】という物語が、そして裏からは【監禁者】という物語が。そしてそれらがぶつかる真ん中には、袋とじ……うわぁ、わくわく。ページを開く前からこれほどミステリ好きの心をくすぐる本があろうか。
 【首吊り島】は、モロに横溝正史を彷彿とさせるような離島での連続殺人モノ。それも密室だぁ\(^o^)/。探偵役となる山本安雄(「倒錯のロンド」に出てきた彼だ)の人物造形が好きになれなかったのと、三姉妹のキャラがステレオタイプだったのが辛いけど、それはまぁ好みの問題ってことで。いやぁ、設定だけじゃなくてセリフまで(笑)横溝正史である。密室のトリックも思わず膝を打った。しかし最大の謎は、なぜ山本がこれだけモテるのか、ってことだな(笑)。
 【監禁者】は、スティーブン・キングの「ミザリー」を思い出させるような話。常軌を逸したファンが作家を監禁して自分好みの話を書かせる。こちらは<「倒錯の死角」と全く同じ舞台で物語は進むワケで、お馴染みの人が続々登場。
 そして最後の袋とじ──これは内緒(笑)。
 ただ……ものすごく奇を衒ったというか、巧くできてるとは思うんだけど……奇を衒うのが目的の全てになってるような気がした。前からも後からも読めて、それがまた繋がるってのは確かに面白い趣向なんだけど、それは小説としてはあくまで二義的なものだと思うのよ。その二義的である筈の趣向がメインになってるっていうか、中身が趣向に負けてるっていうか。そこに違和感を感じてしまった。
 袋とじの一番最後の最後で明かされる、思わず爆笑しちゃうようなネタ。読みようによっては色々な意味にとれるんだけども、でも、あれはどうしても必要だったのかしら?(笑)
 尚、やっぱり「倒錯の死角」「倒錯のロンド」を読んでおいた方が、ネタが分かってる分、楽しめるし分かりやすいと思うな。 (00.11.18)     

狩野俊介の冒険・太田忠司(徳間文庫)

 中学生探偵・狩野俊介シリーズの短編集。長編の方ではオトナに混じって猟奇的な殺人や古色蒼然とした屋敷での事件に立ち向かう俊介君だが、短編ではぐっと身近な俊介君の日常が描かれる。と同時に、俊介君の悲しみが浮き彫りになるのだ。あたしはこのシリーズ、短編の方が好きなのよね。では、個別に。
【硝子の鼠】これは名作。誕生日、少女のもとに届けられたのは綺麗な硝子の鼠だった。しかし彼女はなぜか怯えて……。真相に至るにはちょっと勘が冴え過ぎてるきらいは確かにあるんだけど、この物語の白眉は、謎を解いたその後である。探偵は謎をとくもの、と捉えられがちだが、解いた結果そこに現れた悲しい現実をどう処理するのか。当人たちの処理もさることながら、まだ中学生の俊介君は、自分の中に他人の悲しみを取り込んで昇華せねばならない。普通の中学生なら出会う必要も機会もないような、悪意や汚さ。彼にとって「謎を解く」とは、悲しみを一つ自分の中で結晶にする行為に他ならない。
【加古町の消失】町がまるごと消えるという壮大なトリックを、無理なくキレイにまとめ上げた佳作。妙な力技や、鬼面人を嚇かすような、「驚天動地のトリック」よりも、よほど分かりやすくてキレイ。ここでも俊介君は他人の悲しみに出会うし、文句無しなのだ。でも、「僕は加古を愛しています」って……悲しいシーンなんだけど、ネタが分かってしまうと笑えちゃうんだよなぁ、これ(笑)。
【雨天順延の殺人】突然かかってきた間違い電話。その電話の内容は殺人計画だった!──細かい手がかりを上手に拾って一つの絵を描くという、ロジックが主役の話。だけど同じ日にハンググライダーやパラグライダーの大会がなくてよかったね(笑)。いや、あたしゃ先ずそっちを想像したもんで。あ、そうか、その場合は名前が決め手になるわけね。
【俊介の道草】可愛らしすぎる。そうだよなぁ、だいたい子供の事件なんて、とっかかりはこういうレベルだよなぁ(真相は別よ)。
【電脳車事件〜番外編 青年探偵・狩野俊介の冒険】ボーナストラック。時代は昭和初期か大正ってとこかな。「喋る車」の中で発見された死体を青年探偵・俊介が解く。時代設定とSF的な小道具に惑わされるけど、エッセンスはまさしく「ワンヒントで真相へ」という本格短編。 (00.11.19)     


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