花をモチーフにした短編集。推理作家協会賞を受賞した短編も含まれているが、最後の一編を除けば、ミステリ色は薄いように思える。ただそれは、謎を解くのがテーマの物語ではなく、謎や謎解きが人の思いを伝えたり、人の心を和らげたりする、そういう物語だからだ。謎や謎解きが主人公なのではなく、意味のある小道具として作中に登場する。あくまでも主人公は、人の思いである。こういうの、良いなあ。
スノウ・グッピー・五條瑛(光文社)
訓練中の自衛隊機が日本海に墜落した。その機は「グッピー」と呼ばれる電子戦機器を積んでおり、墜落と同時にその「グッピー」を開発している民間企業の技術者・山田が失踪する。山田の身に何が起こったのか、同じ会社に勤務する三津谷は現地に飛んだ。一方、「グッピー」には米軍・中国・北朝鮮も興味を示し、自衛隊の宇佐見二佐は何としても自衛隊で「グッピー」を回収しようとする。金目当てで三津谷につきまとうハーフのチンピラも現れて──。「グッピー」に隠された秘密とは、いったい何なのか。
人工子宮による出産が一般的となった時代、敢えて昔ながらの方法で妊娠・出産しよういう妊婦が住む特別区「バルーン・タウン」。そこで数々の難事件を解決した、元・妊婦探偵、暮林美央は、今は夫と二人の子供と(それから下宿人と)一緒に一般区に住んでいる。そこに、昔の活躍を聞かせてもらいに訪れた新聞記者──妊婦探偵の思い出話が、始まる──。
密室の鍵貸します・東川篤哉(カッパノベルス)
烏賊川大学に通う戸村流平は、内定した会社に勤める先輩・茂呂の部屋で、ビデオを見ていた。ところがその頃、流平のモト彼女が、マンションの屋上から転落死を遂げる。流平にはアリバイがあるので安心の筈だったのに、それを主張することができない。なぜならその夜、茂呂も自室の風呂で殺されてしまったから──それも、流平が室内にいる間に。状況は明らかに、流平が犯人であると指し示している。果たして流平は、自らの潔白を証明できるのか?
The unseen〜見えない精霊・林泰広(カッパノベルス)
インドの奥地。シャーマンの口を通して語られる、あるカメラマンが体験した「飛行船密室」の謎。写真に撮ってはいけないと言われていた大シャーマンをだまし討ちでカメラに収めたウィザードは、怒った村民に仲間共々監禁されてしまう。「精霊が怒る、精霊に殺される」という現地人に対して、「精霊などいない、祟りなど無い」と言い切るウィザード。宙に浮かぶ飛行船密室の中で起こった殺人は、果たして精霊の仕業なのか、それともトリックなのか?
突如起こった連続誘拐殺人事件。悲劇的な結末に嘆息しながらも「自分の子供でなくて良かった」と思ってしまう富樫だったが、誘拐事件が連続するにつれて、ある大きな不安に苛まれるようになる。小学校6年の息子の部屋で、誘拐事件の被害者達を連想させる品を見つけてしまうのだ。そして、息子の部屋を探るにつれて、「息子が事件に関係しているのでは」という疑いは確信に変わる。犯罪とは無縁の筈だった平凡な生活が壊れていく──。
警視庁には警察組織が表立って動けない事件の調査に当たる、特命機関がある。そこのメンバーが招集され、次なる仕事が命じられた。一見、関係なさそうに見える複数事件の共通項を捜すというのだ。ところが、メンバーの一人、倉持だけはその仕事を断った。かつて無かった彼の行動に、同僚たちは不審の念を抱くのだが……。
エドワード・ゴーリーの世界・濱中利信(他)(河出書房新社)
日本でもとみに人気の絵本画家・エドワード・ゴーリー。この本では、彼の全作品の紹介をはじめ、日本でどのように紹介され出版されたのかとか、ファンを自認する人々(江国香織さんとか)によるエッセイや座談会などが収録されている。
やっとかめ探偵団と鬼の栖・清水義範(実業之日本社)
出たっ! 久々の──文字どおり、やっとかめの「やっとかめ探偵団」である。おまけにシリーズ初のハードカバーだ。名古屋の下町を舞台に繰り広げられる、名古屋のミス・マープルこと波川まつ尾を中心にしたおばあちゃん探偵団。名古屋の地理・文化が紹介され、出てくる人は皆、名古屋弁。軽妙にして暖かなこのシリーズ、その実、毎回毎回、結構な社会派なのである。
ツール&ストール・大倉嵩裕(講談社)
大学4年生の白戸修は、どこまでもついてない。その上に底なしのお人好し。そんな性格のせいか、しょっちゅう厄介事に巻き込まれてしまうのだ。時に損をかぶり、時に謎を解き──そんな白戸青年が巻き込まれた《日常の軽犯罪》事件簿。どれもラストがスッキリ爽やかなのが特徴か。表題作は小説推理新人賞受賞作。
十八の夏・光原百合(双葉社)
これまでの「時計を忘れて森へいこう」や「遠い約束」もとてもレベルの高いミステリで好きだったのだけれど、これらはどうしてもティーンズ向けというか少女漫画っぽいというか、行間から「青春青春青春青春」という文字が浮かんでくる気がしてどうにもコッパズカシイ部分があった。こういう作風の人なんだな、という印象を持っていたのだが、それがここに来て一気に、そして嬉しい驚きとともに覆されたのだ。
別に、人の悪意を書けば「大人の話」になるというワケではないのだけれど、しかしやはり、「悪意」の描き方が盛り込み方が、作品に厚みを与えているのは確かだろう。とにかく表現力があり、文章が抜群に巧い。その巧い文章で悪意がリアルに描写されている分、そのあとに来る《癒し》がいや増すのである。チョコレートは甘いだけより、苦みがあってこそ甘さが美味しく感じられるのと一緒だ。
収録されているのは4作。推理作家協会賞受賞作の【十八の夏】は、青年が年上の女性に出会った一夏の体験。真相が胸に痛い。【ささやかな奇跡】は、妻と死に別れた男性の新たな出会いの物語。【兄の純情】は、磊落な兄の恋の顛末を描いたコメディタッチの話。そして、唯一殺人事件を扱ったミステリ【イノセント・デイズ】は、胸をえぐるような鋭さを持った佳作。それぞれ異なった方向性を持つ、タイプの違う物語だが、どれもどこか心に痛く、そして読後は静かに感動する。品が良くて、それでいて力を持った短編集である。
(02.9.24)《この本の詳細情報&注文画面へ》
帯に書かれた「我々は日本海で起こっていることを知らなさすぎる」だの「365日、周辺海域に情報船のいない日はない」だの、もう、今この時期に読まねばいつ読むのだ、というプレッシャ(?)に後押しされて本を開いた。これまでの「プラチナ・ビーズ」や「スリー・アゲーツ〜三つの瑪瑙」などの印象があったために、この帯の惹句を見た時点で「北朝鮮モノだ!」と決めてかかっていたのだ。それが、そうじゃなかったので少々肩すかし。いや、これは本書のせいではなく、一方的に思いこんでいたあたしのせいです。
スノウ・グッピーとは何なのかを巡るサスペンスは、さすがに一級品。しかし、あたしが最も注目したのは、《自衛隊の思惑》の部分である。冒頭で、自衛隊は長年に渡って地域住民に溶け込もうとし、選挙での地盤を固め、少しずつ国会での発言力を強めようとしてきた歴史が語られる。そしてついに、史上初の、自衛隊出身の防衛庁長官が生まれた。これはもう、このまんま中谷防衛庁長官ではないか(後日付記。02/9/30の組閣により、中谷長官は退任。あらら)。そして、本文ではこう語られる。「この国は、俺たちは、適当な規模の戦いが起きるのを待っているんだ。兵器の性能を確認できて、場所が海外なら、なおいい。最高の舞台だよ。」
──物騒だと思う? でも、これは《軍隊》としては、まごうかたなき本音だと思うのよね。
尚、蛇足ながら。この著者の作品って、リアルにして硬派なのだけれど、登場人物にはどこかしら、一部のオンナノコが「きゃん(はぁと)」と思ってしまうような匂いがあるよね。それも魅力のひとつかな。
(02.9.26)《この本の詳細情報&注文画面へ》
バルーン・タウンの手毬唄・松尾由美(文藝春秋)
「バルーンタウンの殺人」「バルーンタウンの手品師」に続く、シリーズ第3弾。前々から古典ミステリのパロディが多かったこのシリーズだが、今回もパロディ炸裂である。なんせ、引退した探偵の所に新聞記者が話を聞きに来るという出だしからして、半七捕物帖だ。それ以外にも……ま、このあたりは各編のタイトルを見れば一目瞭然。肩の力が抜けた感じで、読んでて実に楽しい。
【バルーン・タウンの手毬唄】バルーン・タウンの中で、妊婦が次々に睡眠薬をかがされ眠らされてしまうという事件が起こった。その被害者の周囲には、昔、タウン内で流行した手毬唄とおりの装飾が施されていた……。うわあ、見立てよ見立て。で、その手毬唄ってのが「♪妊婦5ヶ月、花にたとえりゃまだつぼみ、ゴマメに牛蒡に胡麻食べて……」というノリなのだ。どうしていきなり5ヶ月から始まるかというと、安定期に入る前は毬付きなんかしちゃいけないからだって。ぶわっはっは。
【幻の妊婦】美央のところに原稿をとりに来た編集者・木下は、原稿を待たされてる間、いっぷう変わった妊婦に出会って一緒に食事をする。ところが、その間に木下の上司が襲われるという事件が起こった。アリバイを証明しようにも、一緒にいた妊婦がどこの誰だか分からず──何のパロディかは、わかるね?
【読書するコップの謎】社会派推理小説の作家・須任真弓が、本格ミステリを執筆。バルーンタウンが舞台ということで、美央に原稿を読んでもらったところ──最も本格ミステリっぽい一品。でも、一番好きなのはオチの部分なの。
【九ヶ月では遅すぎる】ぶわっはっはっは\(^o^)/。タイトルだけで五分笑える。江田茉莉奈は、美央の家に向かう途中で、二人の男性とすれ違った。彼らはこんな会話を交わしていた。「九ヶ月というのは、ちょっと遅すぎないか」「まして雨の日では」──この会話の断片から、暮林美央の推理が始まる!
(02.9.26)《この本の詳細情報&注文画面へ》
登場人物が少ないために、消去法で「この人しか犯人たりえない」というのは見当がついてしまう。しかし、ポイントはハウダニットなのだ。仮に犯人の見当がついたとしても、じゃあどうやって、ということになると──うん、このトリックはなかなかにビューティフルと言えよう。好きだぞ、こういう仕掛け。「そんなぁ!」とは思ったものの、ちゃんとフェアに伏線は張られてるし。
ただ、これはもう、好みというか相性の問題なのでどうしようもないのだけれど、どうにも《文体》に乗れなかった。いや、《文体》というよりも、《作風》かな。別に作品や作者が悪いわけではなく、ホントに好みの問題なのだけれど。
コメディタッチがすべて苦手なワケではないのだけれど、この作品に出てくるような刑事や探偵のキャラはどうにもダメなのだ。こんなふざけた刑事や探偵、ありえないだろ、と思ってしまうのよね。この作品に限ったことではなく、例えば折原一描く黒星警部や、鯨統一郎描く間暮警部など、ふざけた(すみません)キャラというのがどうにも苦手で。コメディだと重々承知していながらも、「人の死を扱う仕事なんだから、真面目にやれよ!」と登場人物に対して腹を立ててしまうのである。
いやもう、これはホントにあたしの個人的な相性の問題なので、本書にも著者にも何の責任もありません。第一、このトリックはホントにキレイだと思うもの。かなり好きなトリックなんだから。
(02.9.27)《この本の詳細情報&注文画面へ》
──と書くと、なんだか神秘的・幻想的な話のように思えるが、実際はバリバリのパズラーである。ここまでパズルに徹してくれたら、いっそ潔いというか気持ちよいというか。事件が起こる前後でちゃんと、状況はこうです、条件はこうです、というのがキチンと提示される。精霊が殺したのだと言い張る村の少女に対し、今のはこういうトリックだと解説するウィザード。更に反証する少女。このパターンで、推理のドミノ倒しが展開されるわけだ。
本格ミステリには一切の贅肉は要りません、ただ、魅力的な謎と論理的な謎解きがあればそれが最高なんです、という読者にとっては、これはもうタマラナイのではないだろうか。泡坂妻夫氏の推薦文にある「活字による大マジックショー」というのにも、「おお、確かに」と首肯してしまう。
実際には、ワンアイディアに立脚したトリックなので、スレた読者には結構ばれてしまうんじゃないかと思うのだけれど、でも、そこまでに至る怒涛の推理合戦やケレン味溢れる演出で充分楽しませてくれる。
ただ、あたしは個人的に、お約束を当然の前提とするのではなく、お約束自体を納得させて欲しいと思うタチなので、「シャーマンたちがここまで精霊に拘りつつもフェアプレイをしている理由」を、もちょっと書き込んで欲しかったかな、と。だってさ、シャーマンの側にしてみれば、有無を言わせず殺しちゃって「精霊が殺しました」ってことにするのが一番楽だもの。「嘘を見破ることのできる村人たち」にしたところで、当然シャーマン側につくだろうし。
(02.9.27)《この本の詳細情報&注文画面へ》
世界の終わり、あるいは始まり・歌野晶午(角川書店)
かなり特異な構成を持った作品である。謎解きモノの本格ミステリではないのでネタばれには当たらないと思うのが、この構成を前もって知っているかどうかで、読書中の印象はかなり変わると思われる。なので念のため反転させるが、富樫が息子の部屋で証拠の品を見つけて以降の数パターンの展開は、すべて富樫の想像の産物なのだ。だから、結局のところ、真実はわからないままなのである。
そういう構成なのだな、というのは読んでる最中で分かってくるので、途中からは「これも多分……」という読み方になってしまうだろう。人によっては、そこで面白味が減じてしまうかもしれないし、カタルシスを感じぬまま消化不良に陥るかもしれない。しかしあたしは、この構成でしか語れないものがあるのだと思う。
自分の子供が殺人者になる、ということ。その時、親としてとるべき行動は何なのか。親は息子を断罪すべきなのか、それとも庇うべきなのか。断罪したら、そのあと何が待っているのか。庇ったら、その後に来るものは何なのか。何かの事情があって、同情できるような理由でやむにやまれず起こした事件なのか、それとも、人を人とも思わぬ冷酷な殺人だったのか。富樫の試行錯誤は、そのまま読者に伝播し、なんとか《最良のシナリオ》を見つけだそうとする……。
自分の家庭だったら、どうするか。物語はひたすら、読者に問いかけるのだ。自分なら、息子と真正面から対峙するか、それとも見て見ぬ振りをするか。自分の信じる道を、勇気を奮って選んだとしても、その勇気が報われるとは限らないのだ。だったら逃げた方が楽なのでは……なかったことにしちゃえば、楽なのでは……読めば読むほど、自分の小ささを突きつけられる気がして、心が痛む。
自分の身内から犯罪者が出る、などということは、正直言って、これを読んだ今でも想像の埒外だ。その点、あたしは甘いのだろう。しかしこれを読んで、少なくとも、加害者であろうと被害者であろうと、無関係な立場から彼らを興味本位で石もて追うような、そんな真似だけはすまいと強く思ったのである。
(02.9.29)《この本の詳細情報&注文画面へ》
殺人症候群・貫井徳郎(双葉社)
ああ、いい。これはいい。今年のベスト候補だ。ただ、「いい」というのは、面白いとか楽しめるとかではない。心のあらゆる部分に突き刺さって来るような、色々なことを深く考えさせられるような──そういう、痛みや重さが読後も確固として残る、そういう衝撃性を持った作品なのである。ありていに言えば、あまりに切なく激しい内容に、読むのが辛い。辛くて辛くてたまらないのに、それでもページをめくる手が止まらないのである。
ここに登場する複数の人々は、いずれも「癒されぬ思い」を抱えている。それは例えば、身内が犯罪被害者であるということ。そしてその加害者は、未成年であったり精神的障碍を抱えていたりして、罪に問われず反省もしていないということ。正当に裁かれない罪があるのは、なぜなのか。その時、被害者が自ら悪を裁くのは、本当に許されない行為なのか──。
著者は、決して声高に主張を叫んだりはしない。ただ、サスペンスフルで、迫真の「物語」を綴っている。しかし、著者の卓越した描写力により、読者は、梶原に、倉持に、響子に、和子に感情移入する。彼らに感情移入し、犯人を憎いと思い、こんなヤツらは報いを受けて当然だと思い──しかし、本当にそうなのかと心のどこかが「待った」をかける。物語に取り込むことにより、テーマを頭にではなく心に直接響かせる。これぞ小説だ。これぞ物語だ。
あたしには、ここに出てくる彼らの行動を一方的に悪だとはどうしても言えない。しかし、それはすべて、彼らの側に立って見ているからとも言える。折しも、加害者側の視点から描かれた「世界の終わり、あるいは始まり」を読んだばかりだったせいもある。本書を読みながら、常に「自分はどうなんだ、自分ならどうするのだ」と自分に問い続け、明確な答を出せない自分の卑小さ、弱さ、小ささを見せつけられてショックを受けるのだ。物語の持つ激しさと鋭さは、そのまま読者をも斬りつけるのである。そして彼らの末路を見るとき──いや、そこは本編を読んで戴きたい。
和子が、とある「標的」を尾行したとき、ある理由で彼女は「自分のしてきたこと」に気付き、愕然とする。そのシーンは、とてつもなく大きなインパクトを持って、あたしの胸に突き刺さった。いろいろな殺人者の「末路」と共に、このシーンにこそ、なにがしかの「指針」が暗示されてるような気がしてならないのである。
(02.9.29)《この本の詳細情報&注文画面へ》
おどろいたのは、なんとゴーリーが日本で初めて紹介されてたのは、HMM(ハヤカワ・ミステリ・マガジン)だというのだ。植草甚一氏による紹介なのだが、ゴーリーは大のクリスティファンで、「クリスティに捧げる小品」と銘打ったミステリの絵本があるのだそう。ちゃんと事件があって容疑者がいて探偵がいて──というものらしい。でも結末はゴーリーっぽいとかで……うわああ、読みたい。読みたい読みたい。今は、amazonで海外の本も簡単に買えるから、これは要チェック。タイトルは、「The Awdrey-Gore Legacy」。Awdrey Gore名義で書かれた本で、もちろんこれは、エドワード・ゴーリーのアナグラムね。出版は1972年──古! 買えるのかな、これ。<やはりamazonでも在庫切れでした。
資料的価値としては、やはりビブリオグラフィーかな。絵本もさることながら、ゴーリーがてがけたポスターやTシャツ、マグカップなども紹介されている。こちらでもミステリーがらみの作品は多く、その名も「MYSTERY」というテレビ番組のポスターも担当してたんだって。そこで、ブラウン神父のポスターなんかもゴーリーは書いてるのだ。うわあ。
特にTシャツは、みてるだけで欲しくなる。「MYSTERY」のTシャツなんて、ミステリファンなら絶対に欲しくなるわよ。あのゴーリーのタッチで、容疑者・探偵・被害者・手がかり──なんてのがTシャツに描かれた、遊び心いっぱいのもの。「SO MANY BOOKS, SO LITTLE TIME」のTシャツもすっごくかわいい。わきゃん、「うろんな客」のTシャツがあるぅ! これ欲しいーー!
とまぁ、これが通販雑誌ならソッコーで電話するってくらい、ゴーリーの本やグッズがてんこもり。エッセイや座談会も面白いのだけれど、やっぱりゴーリーの作品自体を知り、楽しむための本よねこれは。
(02.10.2)《この本の詳細情報&注文画面へ》
ああ、大好きよこのシリーズ。今回は過去のシリーズ作品に比べて謎解きが少々緩いのと、これは毎度のことだが名古屋以外の人が読んで果たしてどこまで楽しめるのか良く分からないので、「読め!」とは言いにくいのだけれど、それでもあたしは大好きだ。最初の3冊が絶版なのがもったいない。復刊して下さいお願いだから。
【やっとかめ探偵団と鬼の栖】波川まつ尾が経営する駄菓子屋の近くのアパートで、何やら不穏な様子。1階はじの部屋が、洗濯物も取り込まないまま誰もいなくなっているらしい、というのだ。その家庭では児童虐待が行われていたという噂もあって──。真正面からの《やっとかめ社会派》だ。もともとこのシリーズは社会派なのだけれど、おばあちゃんたちのキャラがそれを軽やかに包んでくれるので、悲惨な話も救いがある。でも、この真相はわかんないよなあ。
【やっとかめ探偵団と唐人お吉】波川まつ尾の息子の嫁が、パート先の仲間と一緒に内海へ旅行。温泉ランドでくつろいでいると、背後でいきなり悲鳴が上がった。ビールを飲んだ男性が急死したのだ。死因は毒物。無差別殺人なのか、それとも──? 事件は第1章の最後で起きるんだけど、それまでは完璧に内海観光ガイドだ。でも清水義範の観光ガイドなので、思わずきっちり読んで楽しんでしまう。ストーリー展開と、唐人お吉の逸話が相俟ってなかなかに読ませてくれる。謎解きという点ではフェアプレイとは言えないけれど、まぁこれは仕方ないわな。それにしても、いきなりセントラルタワーズで殺人起こしますか。
(02.10.2)《この本の詳細情報&注文画面へ》
【ツール&ストール】試験が近く、徹夜でフラフラになっていた白戸のところに、旧友がやってきた。なんと彼は殺人の嫌疑をかけられて追われているというのだ。助けて欲しい、と頼まれた白戸は……。スリの手口の蘊蓄はとても面白く読めたのだけど、これっていつになったら事件が動くんだろう……と思っていたら、最後は一気呵成。
【サインペインター】交通事故にあった友だちの代理で押し付けられたバイト。しぶしぶ行ってみると、これがかなりヤバい仕事だった──。白戸が初めて謎をとく話。なるほど、これはキレイ。「意外な真相」も効いてる。最後はちょっと格好良すぎるぞ。
【セイフティゾーン】銀行のミスで残高がなくなってしまった白戸。その手続きを待つ最中にトイレに行ったところ、その間になんと銀行強盗がやってきて──。ホントに運が悪いよなあ白戸って。しかしこれは、「男」の正体については少々分かりやす過ぎる。ラストは、どういう方法でこうなったのかが知りたかったなあ。それとも、勘が良ければ分かるように書かれてるのかな。
【トラブルシューター】買ったばかりの携帯に間違い電話が入り、一方的に話して切った。お人好しの白戸は、わざわざ電話の相手にそれを知らせに行ったのだが──ああ、辛い話だなあ、これ。サスペンスに溢れて一気読みしてしまった。細かい小道具の使い方が巧い。
【ショップリフター】たまたま入ったCDショップで、万引の疑いをかけられた白戸。ひょんなことから保安員の手伝いをすることになったが──。万引の手口も、ラストの展開もとても面白かったのだけれど、ときどき、無性に嫌な気持ちにさせられる話。でも、最後にはスカっとさせてくれたからいいや。
(02.10.3)《この本の詳細情報&注文画面へ》
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