2004年の私的・面白本ランキング
対象本は、2003年11月から2004年10月出版分です。
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【歴史ファンタジー】現代の若者3人が、落雷に遭って800年前の時代にタイムスリップした。3人はそれぞれ別の場所に飛ばされ、そこで生きていくことを余儀なくされる。時代はおりしも源平合戦のさなか。彼らに与えられた「使命」とは何なのか──。歴史が好きな人は先を知ってるが故の切なさを、歴史に興味のない人は先を知らないが故のどきどきはらはらを、存分に堪能できます。壮大なドラマと、時を経ても変わらない感動が、ここにあるよ。なまもの書評を読む
【歴史小説】熱田神宮の宮大工から信長の大工頭になった岡部又衛門に、安土城建築の命令が下る。「南蛮風にせよ」という言葉に「南蛮風って何でゃあ、おみゃあ、わかるきゃ?」と戸惑う又衛門。前代未聞の築城に挑んだ、戦国時代のプロジェクトX! 大工の又衛門のみならず、石工も、檜の伐採人もみんながプロフェッショナルで、矜持を持って仕事をする姿がなんともカッコイイ。そこに入る妨害工作、ライバルの暗躍、そして信長の危機。文章も読みやすくて、ハマること間違いなしだぁ。なまもの書評を読む
【クライムノベル】舞台はちょっとだけ未来。気象庁が「東海地震」を予知した。名古屋近郊ではパニックになりかけたものの、幸いそのときの地震は小さくて済む。しかしその頃、ある完全犯罪の計画がカウントダウンを始めていた──。情報小説としての側面と、クライムノベルのしての側面が完璧に融合。怒濤の物語に押し流されます。なのにおかしみもあるんだな。登場人物の会話がばりばりの名古屋弁で、標準語でルビが振られてるっていう凝りようも面白いよ!なまもの書評を読む
【ミステリ】1991年4月、雨の日。高校3年生の守屋路行と太刀洗万智は、雨宿りをしている白人の少女と知り合った。マーヤと名乗る少女と日本の高校生の静かな友情の中に、日常の謎が見え隠れする青春ミステリ。けれどもっと大きなミステリがこの作品にはある。マーヤの故郷にまつわる、大きな謎が──。なぜ1991年なのか。それが分かったとき、読者は本書のもうひとつのテーマに触れる。あなたなら「友達」として、どの方法を採るだろうか?なまもの書評を読む
【粋小説…かな?】あの手この手で《書画骨董》を楽しむ佛々堂先生。その楽しみ方は金に糸目を付けず、そしてとっても「粋」だ。題材に苦しむ画家、つぶれかかった菓子屋など、結果的に佛々堂先生が救うのだが、その方法がもうタダモノじゃない。日本人ならではの贅を尽くした粋ってのは、こういうことなんじゃないかしら。ミステリ的な趣向あり、人情話あり、どんでん返しあり、わびさびあり。しっとりとして、痛快。こんな話、珍しいよ。なまもの書評を読む
【SF?】自殺した4人の霊が神様から「天国にいきたければ、49日間で100人の自殺志願者を助けなさい」と言われた。彼らは幽霊となって現世に戻り、自殺者をあの手この手で止めようとする──。腹筋がつるほど大笑いしたかと思うと、涙で文字がかすんで読めなくなったりする。笑いと切なさのバランスが絶妙。楽しくて、わくわくできて、切なくて、じんと滲みる。そんな贅沢な物語なのよ。なまもの書評を読む
第7位 「臨場」
【ミステリ】警察組織が事件現場に乗り込み初動捜査にあたることを「臨場」という。そこで力を発揮するのは、検視官だ。その検視官を主人公に据えた連作ミステリの逸品。ガチガチの本格もあれば、ヒューマンな感動モノもある。そしてどれも、「こんな小さなものが、そんな意外な真相に結びつくのか!」という驚きに満ちてるよ。もちろん横山ミステリですから、警察内部の描写もキャッチィだ!なまもの書評を読む
【歴史小説】今更何の説明が要るでしょう。浅田新選組第2弾です。けれど今度は女性が主役。芹沢暗殺の夜、芹沢の配下と一緒にいた遊女の糸里を中心に物語が綴られます。新選組が屯所にしていた八木家や前川家の奥さん、芹沢の情婦となったお梅など、さまざまな女性視点で描かれる新選組。とにもかくにも、女がここまでカッコイイ新選組は他に無いよ。《芹沢派》の解釈も新鮮且つ見事で、新選組ファンは必読だぁ。なまもの書評を読む
【青春小説】バイトを辞め、ぶらぶらしている健太は、ある日サーフィンの最中に大波に飲み込まれる。気がつくと、そこは1944年の日本だった。健太がわけもわからず軍に配属される一方、もうひとりの青年が50年後の未来へと飛ばされていた──。いくらでもハードにできるこの設定を、決して暗くならず、ポジティブに物語は進む。時代は違っても、悩み、迷いながらひとつずつ前へ歩き出す若者達。登場人物みんなに幸せになって欲しい。そう思わせてくれる物語なのだ。なまもの書評を読む
【青春お茶小説】武家茶道家元の跡継ぎ・友衛遊馬18歳。でもお茶なんて興味無い、俺は自由に生きるんだとばかり家出を決行。ところが何故か、お茶に縁の深い京都に住むことになってしまう。茶道家元の跡継ぎだということをひた隠しにする遊馬の将来は? とにもかくにも、骨の髄まで染みこんだ「素養」ってのが如何に大事か。自分探しと言ってしまえば陳腐に聞こえるが、引かれたレールにも意味がある。すっとぼけてて痛快で、とても幸せな気分になれるよ。なまもの書評を読む
【ジュヴナイル・ミステリ】今年は講談社が児童向けミステリーの叢書をスタートさせたが、正直なところ、読み進むにつれて、叢書の目指しているものがよくわからなくなっていった。一読者としては楽しめるのだが、「子供のときにこれを読めたら幸せだ」と思える作品にはなかなか出会えなかったのだ。そんな中、「これよ!」とガッツポーズをしたのが「黄金蝶ひとり」だ。これぞ「子供に読んで欲しい」「子供の頃に読みたかった」そんな1冊なのよ。推理、冒険、友情。わくわくする楽しさとロマンと夢に満ちあふれている。「ミステリの楽しさを子供に伝えたい」という著者の胸一杯の思いが、文字のひとつひとつから立ち上って来るよ。
一方、講談社のもうひとつの叢書「YA! enterteinment」での最大の収穫が「都会(まち)のトム&ソーヤ」シリーズ。こちらは05年夏現在3巻まで出ていて以下続刊中だが、2巻までで一旦完結しているので、まずはこの2冊をどうぞ。こちらもドキドキする推理とわくわくする冒険が、隅から隅までみっちり詰まってるよ。
▼なまもの書評を読む→「黄金蝶ひとり」・「都会のトム&ソーヤ1」・「都会のトム&ソーヤ2」
【自転車小説】自転車にはふたつの楽しみ方がある。ひとつは幼い頃の「乗れるようになる楽しさ」に始まり、趣味としてマシンを組んだり長距離ツーリングに出たりするような楽しみ。そしてもうひとつは、スポーツとして参戦するレースの楽しみ。そのそれぞれが、この2冊に入っている。
「自転車少年記」には、ある幼なじみが幼稚園から大人になるまでの自転車を介した友情が描かれ、「銀輪の覇者」では昭和初期に行われたロードレースの最中に繰り広げられる犯罪の攻防が描かれる。タイプは違えど、どちらも自転車というスポーツが持つ楽しさを存分に伝えてくれる物語だ。
ここを読んでる自転車友人たちよ、ツーリング派は前者が、レース派には後者がお薦めよ!
▼なまもの書評を読む→「自転車少年記」・「銀輪の覇者」