私家版・この推理小説がすごい!97年度版

冒険小説・クライムノベル・ハードボイルド……そういったものを一切排除
純粋且つ狭義の推理小説が好きなあなたに贈る、もうひとつの「このミス」です
対象作品は宝島社の「このミス」に準じています。
ただしあたくしの完全な独断と偏見ですが…

お詫びと訂正:8位の「灰色の砦」の作者名&出版社名が間違ってました。
       さっそく訂正したので許してちょ(;_;)(;_;)(;_;)

1位蛹たちは校庭で
〜名門石清水中学将棋部殺人事件〜
釣巻礼公出版芸術社
2位どちらかが彼女を殺した東野圭吾講談社
3位時の誘拐芦辺拓毎日新聞社
4位林檎の木の道樋口有介中央公論社
5位悪意東野圭吾双葉社
6位私が捜した少年二階堂黎人双葉社
7位硝子のドレス北川歩実新潮社
8位灰色の砦
〜建築探偵桜井京介の事件簿〜
篠田真由美講談社
9位つきまとわれて今邑彩中央公論社
10位星降り山荘の殺人倉知淳講談社

そして、狭義の推理小説ではないためにベストテンからは除外したものの
上記の作品よりも今年心に残った三作品は……

よくぞやってくれました!名探偵の掟東野圭吾講談社
ホントにお疲れさまでした(;_;)名探偵の呪縛東野圭吾講談社
あたしが直木賞をあげる!蒼穹の昴浅田次郎講談社

簡単な講評

 まず、「蛹たちは校庭で」あたしなんだかんだ言ってもやっぱ学園モノに弱いのね。それがよーく判りました。30才過ぎて学園モノでもないだろうとは思うんだけどさ。それも普通の学園だもの、これ。黒い聖母が徘徊するミッションスクールでもないし、山の上のさびれた寄宿学校でもない、普通の学校。それがいいやね。で、トリックも意外性も伏線もしっかりしてる上に、文章・人物描写・小説のテーマもしっかりしてる。これが両立できてるというだけで、最近の推理小説界に置いては二重丸なのです。back

 「どちらかが彼女を殺した」いやぁ、今年の東野さんはすごかった。あたしゃこのひとのファンでよかったと思いましたね、いやマジで。「このミス」では13位でしたが、推理小説という観点で行けば「掟」よりも上だと思うぞ。いやでも再読しちゃうし。再読率はナンバーワンでしょう。back

 「時の誘拐」芦辺拓が同人誌的作風から脱皮した記念すべき一冊。特に誘拐事件の描写はぐいぐい読ませます。大阪描かせたら三本の指に入るな、きっと。back

 「林檎の木の道」今年の切なさナンバーワン。高校生の胸キュンストーリーなんだけど、実は立派に論理的着地が拝める推理小説であります。back

 「悪意」これは巧い!の一言です。シリーズキャラになった加賀君がいい狂言回しをしてるな。してやられた、という感じの一冊。back

「私が捜した少年」わはははっ。何を言ってもネタバレになるな。(笑)とにかく読んでみて下さい。個々のトリックというよりも設定がすばらしい。わはは。back

 「硝子のドレス」新潮ミステリ倶楽部は総じてレベルが高いのですが、これは中でも光ってます。これは恐いよー。特に女性ならきっと気持ちが分かる、他人事じゃないという恐さ。でも、一ヶ月も飲まず食わずで監禁されてた男が救出されてすぐに立ち回りができるのかってのが、チトひっかかりましたが(笑)back

 「灰色の砦」このシリーズの中ではピカ一だと思うです。やっぱ学園モノの類なんだけど。パズル性だけじゃなくて、その背後の心理描写がきちんとできてる。推理小説はクイズじゃない、小説なんだということがシリーズ4作目にして昇華できた感あり。back

 「つきまとわれて」作者お得意の世界を見事に描いてますね。これも恐い。恐さ、不思議さ、なんかほんわりした雰囲気の中で、でも最後には論理性で占める。山口雅也氏の「垂里冴子のお見合と推理」をちょっと恐くしたような感じです。back

 「星降り山荘の殺人」これははっきり言って推理小説としてはお粗末。だけどなんで10位に入ってるかというと、「やられたぁ!」と声に出してしまったほどの背負い投げをくらったのは、これだったからなのです。ホントに叫んだモン、あたし。ただ、唯一の仕込みだけが命の、それだけの作品なんですけどね。(笑)でも、大半のひとが騙されたと思うな。わはは。 back 

 ホントはね、やっぱ「奪取」(真保裕一)とか「道〜ジェルソミーナ」(笠井潔)とか「理由はいらない」(藤田宜永)、「向こう端に座った男」(東直巳)あたりが今年の上位に入るんですが、そこはハードボイルドは除外すると啖呵を切った手前ねぇ…(笑)
 とうわけで、私家版・この推理小説がすごい!解説が短くて恐縮ですが、まぁ解説読むより小説読んだ方がいいってなもんで、未読のものがありましたら、ぜひおためしください。あなたにも喜んで頂けると嬉しいわん。


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