なまもの日記

2000年7月前半 〜感動で胸がおっぱいです〜


【00.7.1.Sat】
 暑!ちょっと奥さん34.4度ですってよ今日の名古屋は! 7月になったからって、こうも律儀に暑くならんでも。体じゅうの毛穴が開いて油が滲み出てくるくらい暑かったわいな。おまけに風は耳クソほども吹かず。空気がネットリとして、鍋で溶かした熱いゼラチンの中にいるような気分だ。これまでは窓を全開にすれば充分凌げていたのに、ついに耐えきれずエアコンを入れた。

 結婚記念日──なんだけど、結婚以来、この日がどういう日であったかは過去の日記を読んで頂ければ分かる通り。一回目はヒルトンのスイートにお泊まり、二回目は焼き肉、三回目は忘れられて翌日に寿司、とまぁ世の例に漏れず、年が経つにつれて記念日なんざ、どーでもいいというのがハッキリしてきた感のある大矢家だ。いいのよ別に。いいんですってば。
 で、今年はどうかというと──ダンナは寝てました。ええ、寝てたんです。それも夕方4時から夜の9時まで。ま、昨日まで仕事が忙しかったし、今日は用事で朝が早かったから仕方ないんだけどもさ。9時に起きてきて、「じゃ、ラーメン食いに行くか」というのが4回目の結婚記念日でしたことよ。「餃子と唐揚げもつけるから。今日はチャーシュー麺でもいいぞ」って、そういう問題か? ま、美味しかったし、帰りに古本屋もまわってくれたからいいや。ヒルトンよりフルホンの方が嬉しいのは確かだ。

 篠田節子「第4の神話」読了。

【00.7.2.Sun】
 35.5度というあたしの体温とほぼ同じ酷暑の中で、思った以上に紛糾している森作品の古語訳ですが──よろづじふとむつになりぬるがネタバレかどうかについて、たくさんの方々からメールを頂きました。ありがとうございました。で、ネタバレ云々以前に、圧倒的に多かったご意見がこれ。

じふとむつでは、ひとつ多いです」

 ……え? えーっと、いち、にぃ……うわあああっホントだ、ひとつ多いぞ(笑)。こんなところで算数ができないのを露呈してしまった。誠にもって面目ない。ということで、よろづじふといつになりぬるが正解だな。ネタバレに関しては総じて「じふといつだけでは何のことか分からないだろうし、たとえ分かっても、小説の面白さや驚きを損なう類の情報ではないので、かまわないのでは」という意見が多うございました。その他のご指摘としては

指摘することと、それを日記に載せること自体がネタバレになるのでは。(K田さん他)
とをあまりいつつの方が一般的。(M藝さん他)
なりぬと終止形にすべき(S藤さん他)
「気になるなあ、面白そうだから読んでみようか」と思う人が多ければOK(Nたびさんさすが森ぱふぇ

などなど。文法については、連体形の方が余韻があって響きも美しいので、敢えてなりぬるにしてみましたのよ。なりぬるのあとに、とかこととかが隠れてると思うと、なんか雰囲気あるでしょ?
 で、ここで、ネタバレの謗りを受けないためにも、こうしたらどうかという新しい訳案を考えて下さったのがM藝さん。これが素晴らしい出来なのだ! いわく

よろづへになりぬる

 巧い! 分かるかな。ふふふ、分からないかもね。だけど、分からないという点では原題と同じだし、これは実に素晴らしい、ズバリ正鵠を射た古語訳だと思いますのよ。偶然とは言え、音も似てるし。

【00.7.3.Mon】
 今日の名古屋は35.2度だそうで、こうやって毎日気温を書いているとますます暑くなってくるのだが、北海道とか高原とかの涼しいところでこの日記を読んでる人に、少しでも暑さを分けてあげたいという思いやりです。分けたからと言って涼しくなるわけではないのだが。ま、せめて来月末に夏休みの絵日記を全然書いてないよーというお子様がいらっしゃったら、その時にはこんな気温のデータでも役に立つでしょう。名古屋の子だけですか。あ、それ以前にまだ夏休みに入ってませんかそうですか。
 この酷暑に何か利点を見いだすとすれば、洗濯物が乾くということ以外にない。ってわけで、親の仇のように洗濯。昼過ぎから干してもカラカラに乾くからすごい。ところが、シーツも洗ってベッドパットも干したので、昼寝できず(するなよ)。過ぎたるは猶及ばざるが如しってやつか ← 違う。

 昨日から今日にかけて、いしいひさいち「ほんの一冊」、シャーロット・マクラウド「フクロウが多すぎる」読了。前者は鬼才・いしいひさいち氏の書評本。書評の書評ってのも不毛だけどね。

 日本テレビ系の新ドラマ「リミット」をとりあえず見てみる。(桐野夏生+柴田よしき+馳星周)÷5って感じ。って、5で割ってどうする。最後の20分と予告編だけ見たダンナが「犯人は陣内孝則だ」と断言。どこから陣内孝則? 第一、何の犯人が? まぁ3ヶ月後には分かるでしょう。それまで見てれば、だけど。ところで、最後のキャスト&スタッフロールに、あたしの好きな大高洋夫の名前があったんだけど、どこに出てました? 気付かなかったわ。誰か覚えてる人がいたら教えてくださいな。

 明日は桑名の変態友人Gと定期古本屋巡りの予定。今回はいつもと違うルートを行こうということで、名古屋西部で待ち合わせる相談をする。互いに電話口に地図を準備し、30分以上かけての綿密な打ち合わせの結果は「じゃ、それくらいの時間に、そのあたりで」──これでホントに会えるんだろうか?

【00.7.4.Tue】
 ホントに会えたから不思議だ。

 桑名の変態友人Gと古本屋巡り。昼食を挟んで、N村区→N川区→M区→M区→T白区→M東区と、8時間かけて名古屋市をぐるりと半周。二人とも目的の獲物を入手でき、その他の釣果もまずまず。新しい店も発掘できたし、非常に満足。
 敢えて不満があるとすれば、酷暑の中、革のサンダルで出かけたために変態友人Gの車の中でサンダルを脱ぐと、足の指の間がものすごく臭くて鼻がへこみそうだったことか。
 それと、5時間かけて作った《名古屋古書店マップ》を広げるには、助手席は狭すぎたってことかな。仕方ないので、後部座席を倒して平たくした上に100×60cmの名古屋広域図を広げ、助手席の背もたれもリクライニングさせて後ろ向きに正座してナビに挑戦。急ブレーキでもかけたら、フロントガラスを突き破ってケツから飛び出すという姿勢で危険極まりなく、すぐに変態友人Gから「やめなさいって」と禁止される。裸足で正座すると、これがまた強烈に足が臭うし(笑)。

 最後に寄ったのはうちの近所のミステリ専門古書店「古本まゆ」。先日ここで戸板康二の「淀君の謎」を購入したのを覚えていて下さったオーナーが、ハードカバーの函入り「團十郎切腹事件」を出してくれた。値段も定価より100円増しと良心的なのだが──文庫で出てるものは文庫で欲しいからと、涙を呑んでお断りする。そりゃね、10坪くらいの書庫があるなら迷わず買いますけどね。あたしはもともと初版だとかハードカバーだとか帯の有無だとか、そういうのには拘らない──つまり「古書好き」という言葉から連想される蒐集家的要素を持っていないので(いや、稀覯本を見たら素直に凄い!とは思うけれど)、こういうモッタイナイことが平気でできるわけだ。バチが当たるぞ。
 ガッカリしているオーナーを更に鞭打つように、稀覯本でも何でもない単なるマイナーな絶版本を2冊「もしも入ったらとっといてね」と頼んで、これまたガッカリさせてしまう。「その手のは高値はつかないんですけどね」と言われたけれど、だって価値とか珍しいとか以前に、とにかく読みたいんだもん。

【00.7.5.Wed】
 昨日は変態友人Gとの古書店巡りの後、S芝さんも呼んで、ダンナも含めて4人で恒例の焼き肉。その場で、またまたバカをさらけ出す羽目に。以前、「しし座流星群ってのは、しし座が流れるの?」と発言して、力一杯バカにされたことのある大矢だけれども、またまたやってしまったのだ。もうすぐ月食だという話題になった時に、あたしが思わず口にしてしまったこと。
 「えーっと、月食ってのは地球と月の間に太陽が入るんだっけ?」 ── 「熱!」

 ……そんな、3人で一斉につっこまんでも(涙)。

 え、ユニチカのバレー部が廃部ですってッ! 熊前選手みたいないいプレイヤーを擁してるというのに……あたしに金さえあれば、チームごと買い取るのに。それでオーヤ美人巨乳主婦ズという名前にしてVリーグで暴れまくるのさ。あたしもちょっとだけ出させて貰ったりして。ああ、夢だなあ。
 夢と言えば、縁あって福島県にお住いのなまもの読者F原さんとメールのやり取りをさせて頂いたんだけど、福島県と来れば戊辰戦争マニアの大矢、F原さんへのメールにこんなことを書いた。

 「(会津に行きたいけど暇がないので)ダンナが死んでから、保険金で会津旅行してやるッ

 それに対するF原さんの返事。

 「近い将来に実現するといいですね」

 おいおい、それって──(笑)。

【00.7.6.Thu】
 シャーロット・マクラウド「水のなかの何か」「牛乳配達退場」続けて読了。よっしゃ、これでシャンディ教授シリーズは制覇したぞ。普段の大矢のペースから考えれば、1年分の翻訳物を半月で読んだ計算になる。すごいすごい。これはジル・チャーチルと並んで翻訳物の印象を大きく覆した作家と言っても華厳の滝。間違い。過言ではあるまい。
 その「水のなかの何か」の解説(松浦正人氏)を読んで、「おおっ」と思ったフレーズに出会う。氏はマクラウドの小説作法を指して言っているのだけれど、あたしにはもっと普遍的な──理想の小説像のように思えた言葉。曰く、

花も実もある嘘八百

 ね? いいと思わない? 小説のあるべき姿っつーか、そういう小説を読みたいっつーか、小説かくあるべしっつーか。あたしは読む方専門だが、もしもあたしが小説を書く側だったら絶対にこれを座右の銘にするだろうな、という言葉だ。花も実もある嘘八百──うーん、しみじみと気に入ったぞ。ここまで気に入ったフレーズというのは、昔、桑名の変態友人Gが言った乳首が逃げた。おーい、待っちくびー」以来である。そんなのと同列に扱われては松浦正人氏も困るだろうけど。作家の皆さん、どうかそんな小説をたくさん書いてくださいませね。いや、逃げた乳首の小説じゃなくて。

 フレーズと言えば、自転車友人T嶋さんからの投稿。「神のみぞ知る」「蟹の味噌汁」はちょっと似てる──おお、これは巧いではないか。T嶋さんはこれまで「ストレッチ」「一人エッチ」はちょっと似てるってな作風だったのだが、何かに開眼したと見える。チャコの開眼物語。学校の開眼。開眼の火事。開眼マスク。もういいですかそうですか。

 三谷幸喜ドラマ「合い言葉は勇気」。今回の役名は八犬伝か。「王様のレストラン」の時は武将関連の名前だったよね。こういう遊びは大好き。足りない文字はこれから出るのかな?

【00.7.7.Fri】
 北森鴻「凶笑面〜蓮丈那智フィールドファイルI」、読了。ここんとこ翻訳物を続けて読んでたせいか、こういう作品は実に滲みるなぁ。北森鴻ってのは日本のミステリ界に於いて、連城三紀彦の系譜に連なる、美しい文章を書ける数少ない作家だと思うのよね。そういや主人公の名前もレンジョウだな。関係ないか。北森氏の文章は、木と紙で出来た純和風建築を彷彿とさせる。木と紙でできてて、柔らかい光を通し、凛とした風情と香りのある、障子のような文章。文章の巧い作家ってのは、やっぱいい。
 続けて近藤史恵「茨姫はたたかう」読了。この人も文章は抽んでて巧いよね。

 んげっ! 今日になって気付いたけど、あたし新刊書評ページの冒頭部分で、「堕天使殺人事件」の著者名を、二階堂黎人(他)とすべきところを間違えて黒田研二にしてるッ! 書評本編じゃなくて目次部分ね。ひえ〜〜、先月の新刊書評ページを雛形に使ったせいだな。たいへん失礼しました>「堕天使殺人事件」の著者の皆様。アップしてから1週間も、そのままでした。しかし指摘メールが一通も来ないとは……あんたらホントに日記しか読んでないのね(;_;)。そもそも、あんたが気付きなさいって>黒田研二「堕天使殺人事件」なんて執筆した覚えなかろう。

【00.7.8.Sat】
 77,777hit達成! いつもご愛読ありがとうございます。昨日なら7/777,777hitてなことになってフィーバー(古!)だったのだけど、1日ズレたな。だから何ってワケじゃないんだけど、ゾロ目ってのは何だかソソるものがありませんか? 寝る直前に見た部屋のデジタル時計が1:11で、ふと夜中に目が覚めたら2:22で、ただそれだけなのに「おおっ!」と感動してしまったことがあった。次は3:33に目が覚めるとすごいなーと思ってワクワクしてたら、ワクワクしすぎて3:33まで眠れなかった(笑)。

 名古屋の地下鉄と市バスには環境きっぷというものがある。毎月8日だけ、620円で全線乗り放題になるというもの(普通の日は850円)。ダンナが出かけてるのをいいことに、お昼前からこの切符でお出かけし、10時間かけて4,000円分乗り倒す。乗り放題というからには、払い価の2倍3倍使ったくらいでは得した気分にならない大矢だ。
 それだけ乗ってどこをまわったかと言えば、言わずと知れた古本屋っつーのが情けないが。でもいいの、ずーっと探してた小峰元の絶版ハードカバーを1冊、見つけたんだもの。3年前に本棚から溢れ出たハードカバーにブチ切れて、まとめて売り飛ばした後で絶版だったことに気付いたというシロモノ。文庫落ちもしてないのよ。ああ、3年かかってようやく再入手できたわ……あれ? なんか見慣れた書き込みが……まさか……うわあ、あたしが3年前に売った本だぁっ! 売ったのとは別の古書店で見つけるなんて。あたしが手放してから、この本はどんな運命を辿っていたのだろう……。

 岩中祥史「名古屋学」読了。名古屋章の弟か?>名古屋まなぶ。そうでなくて。
 えっ、大沢在昌って名古屋人なのっ?! 知らなかった。うーん、それにしては作風が名古屋っぽくないぞ。← どんな作風なんだよ名古屋っぽいってのは。「新宿鮫」じゃなくて「今池鮫」とか? 「女子大小路鮫」でも可。← ディープ過ぎます。いや待てよ、名古屋なんだから、ではなくにすべきか。「大須鯱」──絶対ハードボイルドには見えんな。直木賞を狙うなら、「無間人形〜新宿鮫4」に対抗して、「ナナちゃん人形〜名鉄鯱7」でどうだ。← どうだって言われても。おまけにローカルすぎてワケがわかりませんかそうですか。

【00.7.9.Sun】
 毎日の生活に刺戟が無いとお悩みの方。肛門のすぐ脇に液体ムヒをぬってみて下さい。
 ほおーーーっ!と叫んで転げ回るくらいの、何とも言えない刺戟を味わえます。いえね、ダンナの留守をいいことに、あられもない姿でガーガー寝てましたら、どーしてこんな場所をというような所を蚊に食われまして(;_;)。ちなみに蚊のことを名古屋弁では蚊んすと言います。複数形のSじゃないのよ。一匹でも蚊んす。それはともかく。
 どーしてこんな場所をというような所ってのは、自分じゃ見えない。左手の指で大体の場所を押さえつつ、右手で液体ムヒを持って、後ろ手にえいやっとばかりに液体ムヒを押し付けると、そこはまさに……

あうっ。     ほおーーーっ!

 刺戟にも慣れたところで(慣れるな)、気を取り直して別の話題。

 横浜にお住まいのMさん(多分M田さんだろうと思うんだけど、ローマ字のシグニチャでしかお名前が分からなかったので)から、一発ネタの投稿を頂きました。ふふふ、かなり好きなタイプのギャグなので、ここは一発トップページに採用させて頂こう。しかし、これを見てすぐに歌えるのって35才以上に限られそうな気が。或いは、一昨日の「夏祭り日本のうた」(テレビ東京系)を見てたかだな。いずれにせよ、続きの歌詞を考えたくなるフレーズである。

【00.7.10.Mon】
 んげろっ。昨日の日記でトップページへのネタ振りをした途端に、カウンタが狂ってしまったわいな。どういうこっちゃ東洋紅茶。あ、それは日東か。そんなことはどうでもいいんだってば。カウンタだカウンタ。赤道直下にあって首都はカンパラ。それはウガンダだ。って、これだけのボケの為にわざわざウガンダの首都を調べたあたしって、何だか健気←違う。
 話が大きく逸れてしまったけれど、カウンタだカウンタ。赤道直下にあって……もういいですかそうですか。早い話が、なんだかカウンタの表示がおかしくなって、100年7月10日から150番目ですなんていう、ほんじゃ何かいこのサイトは皇帝ネロの時代から開設してたんかい倭の奴の国の王に漢の光武帝が金印をプレゼントした頃からやってたんい、というような状態になっているワケだ。だとしたら、プロバイダは邪馬台ネットとかで、稲作系更新されてますリンクとか、浮遊土器工作室とかが人気サイトだったりするのかしら。このサイトは卑弥呼ンに協賛していますとか。え、全然「早い話」じゃない? ちっちっ、あたしは今ものすごいスピードでキーボードを打ってますのよ>速い話。
 そんなくだらないことを言ってる間に修正したらどうだという言い分もよく分かるのだけれど、いかんせんあたしにはできないのよ。わはは、システム的なことは全然分からないもんでさ、そのあたりはダンナ任せなのよね。ところが今日のダンナは何やら忙しそうである。ってことで、いつ修正されるのかは、まったくダンナの気持ちひとつにかかっているわけだ。ということで、申し訳ないが暫くの間は弥生時代に開設されたなまものを楽しんでくれたまへ。
 カウンタ不調についてメールを下さったたくさんの、ホントにたくさんの皆様。どうもありがとうございました。そのうちカウンタがこっそり直っているのに気付いたら、遠い空の下からダンナの仕事を讃えてやってくれ。

【00.7.11.Tue】
 「ぶたぶた」の作者、矢崎存美さんが来名されるということで、太田忠司さんご夫妻と、桑名の変態友人Gこと 黒田研二、それにウチの夫婦の総勢6人で会食。登場するなり黒田に向かって「すみませ〜ん、まだ『ウェディング・ドレス』読み終わってないんですぅ。えへ♪」という矢崎さん。対する黒田は、実は慌てて「ぶたぶた」をさっき買ったばかり、という、お互いに礼儀正しいんだか礼儀知らずなんだか分からない出逢いである。
 会場のイタリアンレストランは偶然にも、前に自転車友人の結婚式の二次会をやった場所だった。注文をあれこれ考えるのも面倒くさいので、3人用のコースを2セット注文。サラダの他は、ピザ・リゾット・パスタ、あとはデザートとコーヒーという、これでもかというくらいの主食ばかりである。まさに炭水化物祭りとでも言うべきラインナップ。しかし、これが実に旨い。特に仔牛とピノコのリゾットは──って、ピノコをリゾットにしてどうするあっちょんぷりけ──仔牛と木の子のリゾットは最高! コクのある濃厚なスープは、もう何杯でもおかわりできそうなくらい。

(注・ここから先は、想像力が豊かな方はそのスイッチを切ってからお読み下さい)
 普段の許容量を超えて食べまくったので、デザートの時にはもう食道まで炭水化物がミッシリ詰まった状態となる。その状態であたしを縦割りにすれば、上から順に、ペンネ・アラビアータ→ペペロンチーノ→蟹のリゾット→仔牛のリゾット→ピザ・マルガリータ→魚介のピザ、という地質学者もビックリな見事な層が出来ていた筈である。その上、咀嚼後は全てがリゾット化しているため、素材的にも統制の取れた美しい層であったに違いない。それも、胃から喉元まで連なる密度の濃い層なので、下手に動くと一番上の『リゾット化したペンネ・アラビアータ層』が地殻変動を起こして出て来そうな勢いだ。アイスコーヒーを飲んだだけで、液状化現象を起こしてペンネが浮いて来そうな程である。どうせ出るなら下から出てくれ2日出てないんだから。

 いや、決して食ってばっかりいたわけではなく、とても有意義なトークも楽しんだのだが(ホントか?)、そのあたりはまた明日の日記ででも。少なくとも、初めて会った太田夫人に、これが大矢博子だと思われてしまったのではないかと、それだけが心配である。ホントのあたしは、もっと清楚で上品なんですのよ。(誰だよそこで笑ってんのはッ)

 東野圭吾「予知夢」読了。

【00.7.12.Wed】
 昨日の会食の席で、これまで読んだ本のオールタイムベストは何かという話になった。

 「やっぱりドグラ・マグラかな」
 「う、あたし、あのもよ子って名前だけで腰が砕けてダメですぅ」
 「ダレカガナカニイル…で決まり」
 「きゃあ、あたしあの主人公の男、大っ嫌いっ!」
 「ウェディング・ドレスは? ねぇ、ウェディング・ドレスはぁ?」
 「キサマ殴られたいのか」
 「アルジャーノンに花束をは、もう別格だし」
 「ブラッドベリも捨てがたい」
 「オレ、ぶたぶた!」
 「あんたはソレ以外に小説を読んだことないんだから、黙ってなさい」
 「ウェディング・ドレスは? ねぇ、ウェディ……
  ボカッ

 とまぁ、どれが誰のセリフかはテキトーに想像してもらうとして、因みにあたしは、文句無しに「あしながおじさん」(ウェブスター)である。ただ、言うまでもないが庄司薫の赤頭巾ちゃん4部作は別格だ。児童文学の皮を被った哲学という点では、トーベ・ヤンソンのムーミンシリーズも忘れてはなるまい。しかし「智恵子抄」(高村光太郎)や「厄除け詩集」(井伏鱒二)も捨て難い。となると与謝野晶子を無視するわけにも──って、ミステリがはいってないぢゃん。あたしってホントにミステリ者?
 ミステリからひとつってことになると……横溝の「獄門島」かなあ。でもこれは今ホンの5秒で思いついた答なので、1週間後には全く違うのを挙げるかも。東野圭吾の「名探偵の掟」とか ← 違い過ぎ。

 山口雅也「続・垂里冴子のお見合いと推理」読了。

【00.7.13.Thu】
 あたしが算数オンチなのは今さら説明するまでもないが、テレビを見ていて、慣れない算数的命題を考え始めてしまったのが運のツキ。考えれば考えるほどワケわかめになるので、こうなったら賢き読者の皆様の助けを乞おうと思った次第。
 見ていた番組は、フジテレビ系のマッハブイロクというバラエティである。V6という、エンジンの種類みたいなジャニーズ事務所のアイドルグループがやってる番組で、あたしは坂本クンと井ノ原クンが好きなんだけどそんなこたぁどうでもいいですね。その番組の中で、次のようなゲームが行われた。

  ケーキが6つあり、それぞれに蝋燭が1本立っている。その中の一つが《当たり》で、
  火をつけると爆発する仕掛け。V6のメンバーは、予め決められた順番通りにケーキを
  選んでいく。爆発すれば負け、爆発しなければセーフ。

  まず坂本クンが6個のケーキの中からひとつを選び、蝋燭に火をつけた。……セーフ。
  次に二番手の長野クンが、残る5つの中から一つを選び、火をつけた。 ……セーフ。
  そして三番手の井ノ原クンが、残る4つの中からひとつを選び     ……
どっかーん!

  残る3人のメンバー(森田・三宅・岡田)は、労せずしてゲームに勝利した。

 とまぁ、いわばロシアンルーレットのようなゲームなわけだが、あたしの抱いた疑問とは。何番手が一番有利なのだろうということなのだ。素直に考えれば、1番手が《当たる》確率は6分の1、2番手は5分の1、3番手は4分の1……と、順を追う毎に確率はだんだん高くなっていくわけだから、一番手が当たる確率が最も低い、ということになる。しかし、そうなると5番手は2分の1、そして6番手は1分の1で100%当たってしまうという数字が出るのだけれど、今日は100%当たる筈の6番手に順番が回る前に、三番手が《当たり》を引いてしまったわけだ。100%当たる筈の人が当たらなかったという、なんか妙な結果になってしまったのである。
 えーっと、あたしはどこで間違えたんだ?
 ともかく、確率はあとになるほど高くなるんだけど、途中で誰かが当ててしまえば、残るメンバーはゲームに参加する必要もなく勝利が決まるわけで、これはメチャクチャ有利なのではないか、とも思える。だったら6番手になって、誰かが《当たり》を引いてくれるのを待つ方が楽な気もするのだ。第一、誰も《当たり》を引かずに6番手まで順番が回ってくる確率の方が低いような気もするのよね。計算方法が分からないので、カンだけで書いてますけど(笑)。
 考えれば考えるほど分からない。既に脳味噌はウニで、えーい何番手だろうが当たるか当たらないか二つに一つだから確率は皆2分の1で一緒だ!などと乱暴な発想しか出てこない。もしもあなたが、こういうゲームに参加するとして。何番手になりたいか自分で決めていいよ、と言われたら。何番手を選びますか? 誰かあたしも分かるように、説明してくれえ。

 篠田節子「青らむ空のうつろのなかに」読了。短編集なのだけれど──うわぁ、インパクトあるなあ。心がすっと凍るような物語。うーむ、ハズレがないぞ>新潮エンターティメント倶楽部SS。「らんぼう」(大沢在昌)も「守宮薄緑」(花村萬月)も「ストロボ」(真保裕一)も「凶笑面〜蓮丈那智フィールドファイルI」(北森鴻)も面白かったもんなぁ。

【00.7.14.Fri】
 うわぁ、ものすごいメールの量だ>ケーキのロシアンルーレット。ホントに、ホントにありがとうございます。たくさん頂いてしまって、お名前を全部ご紹介できないくらい。W山N子さん、M月さん、Y田さん(2名)、M田さん、それに、高校の数学教師というI丸さん錦通信市川さん、自転車友人のS田さん、M脇さん……他、大勢の皆様。多すぎて、お一人ずつにお返事を書くことができません。どうかご容赦下さい。
 しかし、何が情けないって、中学生の女の子からのメールが……しくしく。S藤M香ちゃん、どうもありがとうね、高校受験頑張ってね(トホホ)。おばちゃんみたいなバカな大人になっちゃダメだよ。でもね、おばちゃんは算数はできないけど、でもM香ちゃんがまだ知らない、あ〜んなことやこ〜んなことを沢山知ってるんだぞお ← やめなさいって。
 で、メールの内容はというと、皆様見事に同じでした。強いて違いを挙げるとするなら、これを条件付き確率と呼ぶ人と、乗法定理と呼ぶ人の二通りあったってことくらいかな。ええ、そんな違いなんてどーせあたしには分かりませんので、いいんです。それに半分以上の人が「こういう話はとても好きなので」てな意味のことを書いてるのが驚きである。それってあーた、あたしに言わせれば「カレイの煮付けに青汁をかけて食べるのが好きなので」ってのと同義だぞ。← どこが?
 さて、何番手が有利かというと──リプライが一番早かった(昨日の日記をアップしてから1時間そこそこでメールが来た!)Aきらさんのメールを引用します。伏せ字になってない? まぁ気にしないで。

  まず,結論から言うと当たる確率は全員1/6です。
  1人目の場合、6個のうちから当たる確率は1/6。
  2人目が当たる場合は、1人目が当たらないことを考慮にいれて考えるので
  1人目が当たらない確率は5/6、2人目が当たる確率は残り5つから1つを当てるので1/5。
  上記の2つを掛け合わせると(5/6)×(1/5)=1/6となります。
  3人目の場合もこれと同様に、1人目,2人目が当たらず3人目が当たる確率は
  (5/6)×(4/5)×(1/4)=1/6となり、最終的に当たる確率は6人全員が1/6となります。

 はあああ〜〜〜、なるほどぉ。巧くできてるんだなぁ。なんか感動。どっか騙されてるような気がしないでもないのだけど(笑)、納得してしまった。ただ、スッキリしないのは5行目の「上記の2つを掛け合わせると(5/6)×(1/5)=1/6」ってとこなのよね。どうして掛けるの?……いや、きっと昔、習った筈だとは思うんだけど、よく分からなかったのでダンナに訊いてみた。

 「よし、じゃぁコイントスを例に考えてみよう」
 「はい」
 「まず、一回コインを投げる。表が出る確率は?」
 「2分の1」
 「もう一度、コインを投げる。表が出る確率は?」
 「2分の1」
 「ここで、続けて表が出る確率を求めるのに、どうして掛けるのか、というのがオマエの質問だ」
 「その通りです」
 「じゃ、1回目と2回目の確率を足してみな」
 「……1です」
 「じゃ、1回目から2回目の確率を引いてみな」
 「……0です」
 「じゃ、1回目を2回目で割ってみな」
 「……1です」
 「な? 掛けるしかないだろ?」

 消去法?! 確率ってのは、そんな消極的な方法で導かれてるものなのかっ?!

【00.7.15.Sat】
 80,000hit達成! いつもご愛読ありがとうございます。だいたい1ヶ月で1万ヒットだな。

 今回の直木賞は、候補作を一つしか読んでないので何もコメントできず。船戸与一氏の受賞は嬉しいけれど、《今さら》じゃありませんこと? 個人的には、今年の上半期ベストは「どすこい(仮)」「オルファクトグラム」「始祖鳥記」「アンハッピードッグズ」のあたり。「スリー・アゲーツ〜三つの瑪瑙」「シェエラザード」は去年になるのかな? いずれにしろ、一つとして候補になりゃしねえ。ま、「どすこい(仮)」が直木賞候補になる日が来るとは思えんが(笑)。

 彩胡ジュン「白銀荘の殺人鬼」読了。合作した二人の著者当てが話題を呼んでるが、読みながらどうも「××っぽいなぁ」という印象が抜けず。ただ、××にしては違和感のある語彙や文尾がたまに見られる。でも『合作』なんだからそれも当然なのか?
 一人は**賞受賞作家、もう一人はミステリーベストテン第1位、というのが版元からのヒント。幾つかのサイトを拝見するに、ミステリーベストテン第1位って方は二階堂黎人もしくは麻耶雄嵩ってのが多いみたいね。無論《受賞歴無し》を前提に考えた結果であって、《受賞歴無し》とは何処にも書いてないわけだからチト冒険だけど、それでも妥当な線だよね。
 **賞受賞作家の方は──これも幾つかのサイトによると、どうも《バリバリの本格》という作風から、鮎川賞かメフィスト賞の受賞者を挙げる人が多いようだ。或いは推理作家協会賞か。でも、それも断定はできないよな。作風が違うとは言え、大薮春彦賞でないとは言えない(笑)。いや待てよ、**賞ってのがミステリの賞とは言ってないぞ。まさかとは思うが、ノーベル文学賞受賞作家ということだって、可能性としては有り得る。大江健三郎麻耶雄嵩の合作──確かに夢の顔合わせだ。悪夢だけど。「あいまいな日本のメルカトル鮎」とか。(笑)
 いや、文学関係の賞とも言ってないのだから、レコード大賞受賞作家とか、上方演芸大賞受賞作家とか、日本ペンクラブ主催ゴルフ大会ドラコン賞受賞作家とかの可能性も──ありませんかそうですか。


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