股ぐらの粉瘤が再発しやがった。
しかしここまで来るとあたしももう粉瘤のプロ、略してふんプロなので(略すなよ)、どうせ病院に行っても暫くは抗生物質で様子見になるのは分かっているし、ガーゼと絆創膏で保護しておけば今ならまだ痛みも少ないのだが……やっぱそれでも明日には病院行かなくちゃだなあ。幸いにしてあたしは未経験だが、なんせ粉瘤ってのは炎症が激しくなると
らしいし。股ぐらに爆弾かかえて生活するのもどうかと思うし。ま、股ぐらってのはある意味女の武器なので、そこに爆弾があるというのは正しいと言えなくもなかろう。← 言えねぇよ。
翌日。ダンナの実家近くにある皮膚科・M宮クリニックへ。ここの女医さんであるT先生は、大矢の股ぐらの主治医なのである。(「足の裏のホクロを取る」参照)
「T先生〜〜〜、粉瘤、再発しちゃいましたあ」
「あらら。じゃあ、そっちに横になって。ハイ、スカートめくってぇ、ハイ、足開いてぇ」
「(ガバッ)」
「そんなに開かなくていいから。う〜〜ん、熟しちゃってるねえ。切ろうか」
「えっ、き、切るんですかッ」
「切ったらドレーン入れるから、毎日通って貰うことになるけど」
「あ、あたし明日、用事があって出かけなくちゃならないんですぅ」
「あらそう、じゃあ、切るのは週明けまで待って、抗生物質で様子見る?」
「できればその方が……あ、日曜と月曜は、この病院も連休ですよね?」
「そうよ。じゃあ、お薬出しますから、火曜日に来てね」
「はい」
「あ、でもね、大矢さん」
「はい?」
「その粉瘤、三日以内に爆発するわよ」
ままままままマジっすか?! 本気と書いてマジっすか先生っ!
「あとは薬がどれだけ効いてくれるかだけどねえ。爆発は時間の問題だわね」
「ひえええ、あたし、爆発だけは未経験だったのに──」
「大丈夫、突然破裂して、血と膿が出続けて、穴があいて、痛いだけだから」
「せせせせ先生、連休中に爆発しちゃったら、どうしたらいいんですか。お休みなんでしょここ?」
「ええ、だからその時は」
「その時は?」
「自分で手当してね」
はぁ?
「血と膿が出るからね、薬塗ったガーゼを交換しておいてちょうだいな」
「それって、自分でできるもんなんですか」
「病院に来てもらっても、すること一緒だし。あははは」
「あははは、って……やっぱ、今日、切ってもらった方がいいのかなあ……」
「まぁ切ってもねえ、結局、血と膿を出すだけだから爆発させても一緒よ一緒(はぁと)」
……明日、あたしと会う予定になっている方々。突然あたしの股ぐらから血と膿が噴出しても、どうか慌てないで下さい。もしかしたら、ガーゼ切ったり薬塗ったりを頼むかもしれんので覚悟しておいてくれ。(後編へ続く)