【問題】
高田嵩史「試験に敗けない密室」を読んでたら、このシリーズらしく色々なパズルやクイズが盛り込まれていた。その中で、ど〜〜〜〜〜〜〜〜しても理解できないのがひとつだけありまして。答はすぐ後ろに出てくるんだけど、どうしてそうなるのかが全然わからないのよ。
「柱時計が3時を打つのに3秒かかりました。では、9時を打つのに何秒かかるでしょう?」
これがね、正解は12秒だっつ〜からビックリなのよ。そこのあなた、9秒だって思ったでしょ。絶対9秒だって思ったでしょ。あたしだって思ったもの。
で、ダンナに聞いたりクイズ・パズルの本をひっくり返して同じ問題を捜したりしたワケだ。で、それによると、
「3時を打つのに3秒というのは、鐘と鐘との間隔が1.5秒という意味。
したがって、9時を打つときには間隔は8回あるので、1.5秒×8回で、12秒」
んなアホな。
《大矢の考え》
ぼ〜んぼ〜んぼ〜ん
←1→←1→←1→ 合計3秒
このデンでいけば、9時は当然9秒である。「間隔」って何よ、ということだ。間隔ってのは、ひとつの鐘が鳴り終わって、次の鐘が鳴り始めるまでの沈黙の時間でしょう? それが1.5秒もあったら、鳴ってる時間がないじゃないか。
仮に、「間隔」という言葉の定義を、「鳴り始めてから、次の鐘が鳴り始める直前まで」としてみましょうか。それが1.5秒だとしたら、3つめの鐘が鳴り始める直前で3秒が経ってしまうから、3時を3秒で打つのは不可能だし。
なんせ、モノは柱時計なのだから、音は「ぼ〜ん」でしょう。「ぼ」から「ん」までが1秒だ。「ん」てのは余韻みたいなもんで、その「ん」が終わるか否かというタイミングで次の「ぼ〜ん」が始まるから、「ぼ〜んぼ〜んぼ〜ん」でピッタリ3秒。これなら、9時は9秒でしょう? どっか違う?
もうひとつ。仮に、「間隔」の問題がどうにかしてクリアできたとして。間隔が8回だから1.5×8というのは、おかしくないか? 「3時を打つのに3秒かかりました」というのは、事実として確認されてるわけよね? ところが9時に関してはまだ未確認なわけだ。ということは、今、鳴り始めたこの柱時計が9時なのかどうかは、10個目が鳴らないことを確認するまでは分からないのではなかろうか。
となると、9個めの《後ろの間隔》まで勘定にいれなくてはならず、ここは1.5×9とするべきなのではないか?
いや、これはメジャーなクイズらしいので、あたしの言い分が間違ってるであろうことは分かってるのよ。でもさ、どこが間違ってるかサッパリ分からない。自分の論理にまったく破綻がないんだもん。あたしの考えには非のうちどころが無いでしょ。<自分で言うか。さあどうだ。
とりあえず、頭が煮えたら歌を歌おう。♪ぼ〜んぼ〜んぼ〜んと、時計が三つ。<愛知県民にしか分からないギャグですみません。もっとインターナショナルに行こう。このクイズの柱時計、きっとすごく野性的な音を出すことだろう。ぼ〜ん・トゥ・ビー・ワイルド。
【解決】
数日後。
この《時計問題》に、なんと約50通もの解説メールと、30通もの賛同メールを戴きましたあ。どうもありがとうございました。個々に返事を出せる量ではないので、ご無礼ながらここで纏めて御礼申し上げます。ぺこり。
《算数ムネーモシュネー》の皆様がおっしゃっていたことを大矢風にとりまとめ、紹介致します。
問は時計が「打つ時間」を訊ねているのに、大矢さんは「鳴る時間・聞こえる時間」を考えています。
えっ、それは間違いなの? どこが違うの? 一緒じゃないの?
「時計の音が鳴り終わるのに3秒かかりました」ではないのです。
鐘でもピアノでも太鼓でも、「打つ」のは一瞬でしょう? 後は勝手に響くだけで。
3度目を打った時点で「打つ」という行為は終了し、それ以降いくら響こうがそれは関係ないのです。
う〜ん、そんなものなの? なんか詭弁のようにも思えるけれど。
大矢さんは自分を主体にしているから、混乱してるのです。時計の身になって考えて下さい。
なんで人間様が時計ごとき機械の身にならなきゃならんのだ!
だから、そういうことではなくて……。あ、じゃあ、こう考えて下さい。
おお、聞いてやろうじゃないか。言ってみな。
柱時計の中には、小人さんが住んでいます。毎時0分になると、ハンマーで鐘を叩くのが仕事です。
ところが、時計の世界にもコンピュータ化の波が押し寄せてきました。
小人さんには、ハンマーの代わりにマウスが与えられたのです。
これまでは、鐘のところまで歩いていって腕を振り上げ、「えいっ」とばかりに叩いていましたが
これからは、時計の文字盤の裏の安楽椅子に座ったまま、必要な数だけマウスをクリックすればいいのです。
「やあ、これは楽だなあ」と、小人さんも嬉しそうです。
文字盤を裏から見て、毎時0分、秒針が12を指したと同時にクリック!
3時の時には、ちょうど3秒で3回クリックしました。
うん、分かる分かる。小学校の頃、国語の教科書に、時計の中に住む二人の小人を描いた「チックとタック」っていう童話が載ってたのよね。夜中にこっそりワサビを食べちゃって、翌日から時計が、ヂッグ・ダッグ、って鳴るようになったっていうオチの。懐かしいなあ。
そんなことはどうでもいいんですッ。3秒で3クリックですよ。
だから、1秒1クリック、9時は9秒9クリック、じゃないの?
だ〜か〜ら〜〜〜! 違うんですってばあ〜〜〜〜!
何も泣かなくても。
わかりました。話を大きくして、実際にやってみましょう。
3分で3クリックするには、どうしたらいいですか?
最初のワンクリックからスタートして、3分になると同時に3クリック目を打つんですよ。
やって見て下さい。そう、今、大矢さんが持ってるそのマウスで。やってみろっ! さあ早くっ!
わ、分かったわよ、やってみるから怒らないでよ。えと……最初のクリックと同時に、時間を測り始めて……3分になると同時に3つめをクリックするってことは……あっ、2度目のクリックは1分30秒だあ! 3クリックする間隔が、1分30秒。ってことは、3秒で3クリックなら、1.5秒ごとにクリックするってことになるんだあ。すごいすごい、こういうことだったのね!
まったくもう……。自分で経験しなきゃ分からないんですか。
こんなのは小学生でも頭の中だけで計算しちゃいますよ。植木算って、やったでしょう?
植木算? およびでない、こりゃまた失礼致しました、と。
それは植木等! どうしてこんなところにシャボン玉ホリデーとか
スーダラ節とか日本一の無責任男とか傘であるアイデアルとかが出てくるんですかっ!
いや、そこまで言ってませんが。随分詳しいじゃん。
コホン。植木算というのはですね、こういう問題のことです。
「100メートルの道路に、端から端まで等間隔に11本の木を植えます。何メートルごとに植えればいいですか?」
えっと……電卓、使ってもいい?
なんでですか! アホでも暗算できるような数字にしてあげてるのに!
……あ、そうなの?
端から端まで11本の木を植えるんですから、その間隔は何個ありますか?
10個。ああそうか、100メートルを10で割って、10メートルごとに植えればいいってことになるのね。
そうです。それが植木算です。
つまり、両端が決まっている場合、間隔は木の本数より1個少ないわけですね。
今回の柱時計の問題は、3メートルの道路に3本の木を植えたというとこから問題が始まってるんです。
で、9本植えるには、全部で何メートル必要か、という問題になるわけです。
3メートルに3本だから、1.5メートルごとに植えてるわけだ。だから9本なら、木の間隔は8個だから、1.5×8で12メートルになるのね。
それを大矢さんは最初、3メートルに3本の木というのを、
幹の直径が1メートルある木を隙間なく植えた絵を想像しちゃったわけです。
そこがそもそもの間違いだったのですね。
なるほどねえ……。でも実際には木の幹にはなにがしかの直径があるわけだし、クリックに要する時間だって無じゃないわよね。それをサクっと無視しちゃうってのは、なんか多分に数学的というか理系の発想っていうか。
そもそも数学、っていうか算数なんですよ、このパズルは。
ま、そりゃそうだわね。あたしとしては、その植木がプラタナスなのか銀杏なのか、柱時計の小人さんはクリックする以外の時間は何をしてるのか友だちはいるのか、そういうところを考えたいんだけどなあ。
ふっ。算数が苦手な人は、すぐそうやって話を逸らそうとするんだから。
あ、今、鼻で笑ったわね? だったらお得意の算数で、その小人さんの気持ちを推し量れるっていうの? 100年休まずにチクタクチクタク、お爺さんと一緒にチクタクチクタクしてきて、それで今はもう動かない、そんな小人さんの気持ちが算数なんかで割り切れるっていうのぉ?! ばかーーーっ!(泣いて走り去る)
いや、走り去っちゃいかんがな。とまぁ、こういう仕組みだったのですね>柱時計の問題。いろんな方からの解説メールを混ぜ合わせて使わせて戴きました。ありがとうございました。「私も分からない」という30名の皆様、お分かり戴けましたでしょうか?