抜粋なまもの日記

2000年「小ネタ集・間違いだらけの人生2」の巻


【00.2.5.Sat】
 地下鉄の中、近くに座っていた高校生くらいの女の子二人。一人が文庫本を開いていた。どこにでもある風景だ。が、いきなりその子が、隣の子に向かってこう言った。

 「ねえ、キョコンって何?」

 視線が音を持っているということを実感。その時、周囲の視線がザッと音を立てて彼女に集中したのである。昼間っから何を言ってるんだコイツはという視線だ。しかし当人達はその視線に気付かない。平気で話を続ける。

 「ほら、ここ。《私は兄のキョコンを見たことがない》って書いてる」

 うわあああ、やめてくれ。ガングロでも茶髪でもない、普通の愛らしい女子高生なのに。正面のおじさんがすげー顔をしてるのに気付かないのか。彼がいきなり「ほーら、これがキョコンだよ」とズボンを降ろしたらどうするつもりだ。
 と、その時。隣の女の子が文庫本を覗き込んで、こう言ったのだ。

 「キョは許すって字だし、コンは結婚のだから、何か結婚に関係した言葉だよ」

 ……それは、いいなずけだーーーーーっっっっ!!!!


【00.2.14.Mon】
 自己紹介ページに貼ってある写真(編集時注・当時は図々しくも写真を公開してましたの)についてときどきメールを戴くのだが、今日戴いた中に、どうも首を傾げてしまう記述があった。

  「大矢さんて、パフィーの真ん中の人に似てるって言われませんか?」

 えっと……。


【00.3.10.Fri】
 今日の誤解。HDDって、Hard Disc Driveの略だったの?! Hard Discの略じゃなかったの?!


【00.3.11.Sat】
 今日の更なる誤解。CPUって、Computerの略じゃないって、ホントなの?!


【00.3.16.Thu】
 もしも飛行機の中でスチュワーデスさん達が慌てながら「お客様の中で、刺身を見ただけでカレイとヒラメの区別のつく方はいらっしゃいませんか?」と訊ね歩いていたら、あたしはすかさず立ち上がって「はい、調子が良ければ」と答えるだろう(※注)。それしきの事ができなければ大分県のK東半島に生まれた甲斐がないってくらい、カレイの旨いところであたしは育ったのである。
 そのせいか、子供の頃から食卓にはよくカレイがのぼった。刺身、煮付け、唐揚げなど、メニューは様々である。その頃のあたしにとって、ヒラメという魚は「カレイを真似る不届き者」でしかなかった。左ヒラメに右カレイ、という言葉も、区別をつけるというより真贋を見抜くためのノウハウであった。
 ところが、ある日のこと。「母ちゃん、ヒラメはなし(どうして)こげ(こんなに)カレイに似ちょんの」と、小学生の大矢が大分弁で母親に訊ねたと思って頂きたい。その時の母親の答えは、驚愕すべきものであった。

 「海の中で卵が孵って小さい魚がいっぱい生まれて、それがだんだん沈んでいって、海底についた時に、身体のどっち側を下にして着地したかで、カレイになるかヒラメになるか決まるんじゃ」

 がーーーーん。それでは、あたしが「カレイの偽物」としか思っていなかったヒラメと、魚の王者だと信じていたカレイ様とは、もとは同じものなのだったのか。単に、生まれた直後に右を向いたか左を向いたかで、一生が決まってしまうのか。何ということだ。あたしはヒラメになんて辛くあたってしまったんだろう。ヒラメには何の落ち度もないのに。ただ、ちょっと左を向いてしまっただけなのに。
 ──ええ、ええ、信じてましたとも。23歳まで。大法螺を吹きゃぁがった母親は、自分がそんな話をしたこと自体、キレイさっぱり忘れてたようだが。あたしは忘れねーぞ。

 【※2000年当時、松坂大輔が出演するANAのCMで、飛行機内にて客室乗務員が「お客様の中で150km/h以上の球を投げられる方はいらっしゃいませんか?」と訊ね歩き、それに松坂が「調子が良ければ」と手を挙げる、というものがあったのです。今(2006年)にして思えば、何を言わんがためのCMだったかまったく記憶に無いけどな】


【00.4.7.Fri】
 東京の悪友Tばちゃんが来たので、黒田とダンナ、義弟も一緒に5人で焼肉を食す。ハラミやサガリなど、安くて美味しい肉である。義弟は初めて食べたらしく、「それってどこの肉?」と訊いてきたので、「牛の横隔膜のあたりの肉だよ」と教えてあげた。そしたらば義弟の言うことにゃ。

 「横隔膜って、目じゃないの?」

 「……は?」
 「……は?」
 「……は?」
 「……は?」

 「だって、角膜って、目でしょ」

 「……」
 「……」
 「……」
 「……ぷぷっ」

 ぶわっはっはっはっ\(^o^)/。もう、マンションを揺るがすような大爆笑である。角膜と横隔膜は、そりゃどっちもカクマクって言うけど別モンだよっ。ほんなら何かい、あんたは眼球が痙攣してシャックリ起こすんかい。そのシャックリは口から出るのか目から出るのかどっちなんだ。
 義弟、なかなかイキなキャラである。「これ、日記に書くの?」はい、書きますとも。


【00.4.16.Sun】
 明日の夕食用にサーモンを解凍しておこうと思い、冷凍庫を開けた時。ふと、今は亡き祖母のことが思い出された。間もなく三回忌を迎えるこの祖母、明治生まれの女丈夫であったが、サーモンと祖母、と来れば忘れられない思い出があるのだ。
 当時、あたしは大学生であった。外国語学部なんつーところに籍を置いていた関係上、留学生とも付き合いがあり、カナダの友人からキングサーモンを貰ったことがあったのだ。その話を祖母にした。サーモン、では祖母に通じないと思ったあたしは、カナダの鮭だよ、と祖母に伝えたのである。ところが。

 「そんな筈はねえ。あんたは騙されちょる」
 「は?」
 「カナダには鮭はおらん」
 「え──いや、そんなことないよ。カナダは鮭の本場だよ」
 「いいや、鮭は日本にしかおらん。その証拠に」
 「その証拠に?」

 「鮭は日本語ぢゃ」

 この言い分を論破できなかったのは、あたしのせいじゃないわッ。ええ、絶対に。


【00.5.7.Sun】
 ビデオで裏番組を録画することを、ずーっと「裏ビデオを録る」と言ってた友人がいたが、面白いので誰も指摘してやらなかった。彼は今でも「キョンキョンを裏ビデオで録ってるんだ〜」などとおバカな事を言って、周囲の人々を真っ白にしているのだろうか。


【00.5.23.Tue】
 近所のスーパーの野菜売場にて、驚くべき張り紙を目にした。

広告の品・ブッコロリー

 ぶっころりぃ?……どわっはっはっはっ!
 帰ってから広告を見たが、やはりブッコロリーなる特売品はなかった。ブロッコリーならあったけどね。誰か気付けよ>店の人。


【00.6.27.Tue】
 いきなりですが。
 学生時代、下宿にバイブレーターの訪問販売が来たことがある。当時あたしは芳紀18才、大分の田舎から出てきたばかりのピチピチの大学一年生で、バイブレーターなんて見たことないばかりか、そんなモノの名前も存在も知らなかった頃である。ホントよ。ホントだってば。
 そんなあたしの下宿に訪れた、30代半ばの女性。ハッキリ言ってかなりの美人であったことを覚えている。訪問販売と言えば化粧品くらいしか思い浮かばなかったし、てっきり化粧品のセールスレディだと思って玄関を開けたウブな大矢(当時は旧姓)。
 彼女が鞄から取り出したモノは、目にも鮮やかなプラスチック製のキュウリやバナナであった。今にして思えば、当時はそういうデザインが流行だったのかもしれない。バナナにはDELMONTEならぬDEL MONDEという、意味が分かっていれば爆笑モノのシールが貼ってあった。操作説明をしながらバナナのスイッチを入れるセールスレディ。細かく動き出すバナナ。

 ここで大事なことは、セールスレディは一度も、商品名も使用目的も説明しなかったということだ。それが常道なのか、あるいは「知ってる筈」という思いこみかは分からない。だからあたしは、それが何なのか分からないまま、バナナがいかに静かで且つ効果的な動きをするかという説明を、ずっと聞いていたのである。そして、そのバナナの動きを見た途端、あたしは閃いたのだ!

これは、電気泡立て器だ。

 なぁんだ、そうだったのか。やっと分かった。折しも、その前日に生まれて初めて手製のケーキに挑戦し、みごと手製のフリスビーを作ってしまった大矢(当時は旧姓)だったので、まさに電気泡立て器というのは福音であった。いきなり身を乗り出す大矢(当時は旧姓──しつこい)。

 「これ、もう少し大きな動きにはならないんですか」
 「ええ、でも、3段階に調節できますし、小刻みな動きの方が、効果的なんですよ」
 (へぇ、そうなのか。昨日はペーストを力任せにかき混ぜたから失敗したのかな)

 「これ、電池で動くんですよね。水洗いしても大丈夫ですか?」
 「水洗いは……清潔さを保つようにコートしてますから、使用後は拭くだけでいいですよ」
 (おお、それは便利。昨日は泡立て器の中にペーストがこびりついて、洗うの大変だったもんな)

 「やっぱり、手でやるよりも楽ですか?」
 「はい、それはもう!」

 「おいくらですか?」
 「ありがとうございます。バナナが16,800円、キュウリが18,000円です」

     高!

 一人暮らしを始めたばかりの貧乏学生に手が出る値段ではなかった。電気泡立て器がそんなに高価なものだったとは。「すみません、ちょっとその値段では……」と恐縮するあたしに、セールスレディは「そうですか? ではカタログを差し上げますから、お入り用になりましたらいつでもご連絡下さいね」と言って、毒々しい彩色がほどこされた薄いカタログを置いて、帰っていった。

 10分後……カタログを見て、電気泡立て器だと思っていたものの正体が分かったあたしは、同じフロアの下宿人全部が慌てて部屋から飛び出してくるほどの、大きな悲鳴をあげたのだった。でも、ちゃんと問答が成り立ってたのが、すごいと思いません?


【00.7.5.Wed】
 黒田S芝さんとダンナと、4人で焼き肉。その場で、またまたバカをさらけ出す羽目に。以前、「しし座流星群ってのは、しし座が流れるの?」と発言して、力一杯バカにされたことのある大矢だけれども、またまたやってしまったのだ。もうすぐ月食だという話題になった時に、あたしが思わず口にしてしまったこと。
 「えーっと、月食ってのは地球と月の間に太陽が入るんだっけ?」 ── 「熱!」

 ……そんな、3人で一斉につっこまんでも(涙)。


【00.7.5.Wed】
 縁あって福島県にお住いのなまもの読者F原さんとメールのやり取りをさせて頂いたんだけど、福島県と来れば戊辰戦争マニアの大矢、F原さんへのメールにこんなことを書いた。

 「(会津に行きたいけど暇がないので)ダンナが死んでから、保険金で会津旅行してやるッ

 それに対するF原さんの返事。

 「近い将来に実現するといいですね」

 おいおい、それって──。


【00.7.20.Thu】
 美容院にて、美容師さんとの会話。

 「大矢さん、もう二千円札は見ました?」
 「いえ、まだなんですよ」
 「あたしもまだなんですよ〜。欲しくて、わざわざ買い物に行ったんですけどね」
 「あ、お釣りで貰おうと思って?」
 「そうそう。だから、4千円ちょっとの買い物して、1万円札を出したんですよ」
 「ふんふん」
 「そしたら、お釣りが5千円札で来ちゃった」
 「……普通、そうでしょうね」
 「でも、早く実物を見たいなあ」
 「少ししたら、普通に出回るようになりますよ」
 「でも、早く見てみたくありません? 沖縄の凱旋門

 ……美容師さん、どれだけ二千円札が出回っても、それは無理だ。


【00.9.17.Sun】
 東海北陸道の関SAでのこと。喫煙所で煙草を吸っていると、隣に母子連れがいた。母親がお茶を飲んでいる間、ムスコ(3〜4才くらいか?)はそこらを跳ねまわりながら、大声で歌を歌っていた。

「♪ま〜さかり、か〜ついだ、きんたまお〜」

 おいおい、誰が教えたんだよ。

「♪マ〜マに、ま〜たがり、お〜うまのケイコ」

 またがるなっ!

「♪どんどんひゃらら、どんひゃらら」

 歌が変わってる歌がっ!

 ツッコミたくて仕方なかったが、ぐっと堪える大矢であった。しかし側で見ていた母親は、ムスコを止めるでもなく正しい歌を教えるでもなく、美味しそうにお茶を飲んでいるのだ。小さなことには拘らない教育方針なのか? ちょっとは拘った方がいいような気もするぞ。


【00.10.6.Fri】
 突然ですが、お詫びのコーナーである。
 4日間ほど日記の更新をさぼっていたが、同時にその間はメールの返事も溜めていた。で、その溜まっていたメールの返事を昨日から今日にかけて書いたのだけれど──そのうち半分くらいの人に、とても失礼なメールを出してしまったことに、後になって気付いたのである。元来、あたしは礼儀正しい方なので(こら、そこ、笑わないように)返事が遅れたら、まずは謝る。冒頭に

返事が遅くなって、申し訳ありませんでした。

 と書いた──つもりだった、のだ。返事が遅れたお詫びの気持ちを表した筈だったのだ。それなのに。送ったあとで読み返してみると、14通ものメールでこのようになっていた。

返事が遅くなって、申し分ありませんでした。

 あたしって、ものすごく高飛車ですかもしかして。こんな高飛車なメールを受け取って戸惑ったことでしょう>14名様。ああ、ごめんなさいごめんなさい。どうかそのような無礼なメールはウチ捨ててやって下さい。単なる変換ミスなんだけど、まったく申し分ない、いや、申し訳ないミスである。どっかから電波がゆんゆん飛んで来たとしか思えない。ゆんゆん。


【00.10.18.Wed】
 シドニー・パラリンピック開幕。その前のオリンピックが始まった頃、なまもの読者の中に熱烈なファンを持つハイパー・ヤンキー主婦J子が、感に堪えたように言うことにゃ。

 「オーストラリアには、白人とアボリ人がいるって、オマエ知ってた?」

 ……いいえ知りませんでしたアボリ人てのは。アボリジニなら知ってるけどさ。


【00.11.3.Fri】
 風呂場においてある時計が止まっているのに気づいた。でも電池がアルカリ乾電池しかない。迷ったあたしはダンナに訊いてみた。

 「アルカリ乾電池しかないんだけど」
 「別にいいんじゃない?」
 「でも、普通の電池よりアルカリ乾電池の方が、時計が速く進むでしょ?

 ……そ、そんなに笑わなくても(;_;)。何となくそんな感じがするじゃないかッ。


【00.12.10.Sun】
 昨日の忘年会の席でのこと。
 コンピュータを作ったのは誰か?という問いかけに、参加者各位から「ノイマンじゃないの?」と当然のように答えられてしまったのだが……。

 じゃあ、あたしがダンナやS芝さんから教えられた、コンピュータ伯爵ってのは、嘘だったの? ねぇ、嘘だったのッ?!


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