お昼前に震度3の地震があって、そのヒヤヒヤがようやく治まった時に電話が鳴った。嫌な予感がした。とてつもなく嫌な予感がした。そろそろ小学校では冬休みの終わりが近い。休みの終わり近くになると、きまって電話してくる旧友が一人いるのだ。なまもの読者にはお馴染みのカノジョである。ナンバーディスプレイで発信元番号を確認する──うがあああ、やっぱりJ子だああああ。
若い頃に、あらぬ方向に全力疾走してしまったバリバリの元ヤンキーにして、一流会社員を手込めにして妻の座を勝ち取り、現在は二児の母という、あのハイパーヤンキー主婦・J子である。カノジョがどんなヤツか記憶にない人は、「J子襲来! 夏休み編」を読んで下さい。よっぽど無視してやろうかと思ったが、留守電をセットするのを忘れていたためにコール音はいつまでも鳴り続け、きっちり10回鳴ったところで諦めて電話に出た大矢。
「はい、大矢で……」
「早く出ろっつーんだョ!!」
「す、すみません(;_;)。あ、あけましておめでとう、今年もよろ」
「めでたくねぇんだよ年末から風邪ひきっぱなしで」
「ああ、そりゃまたご愁傷様なことで」
「でさー、K梨(彼女の長女・夜露死苦と同程度の当て字)の宿題なんだけど」
「え〜、またあたしが考えるのぉ?」
「あん?」
「……なんでもありません」
「冬休みは自由研究がなくて宿題帳だけだから、まだ楽なんだよ。ちょっとだけ頼むワ」
「楽ならご自分でおやりになっては如何なものかと……」
「あん?」
「……なんでもありません」
「歴史上の人物を3人あげて、そいつらのやったことを簡単に書けっつーんだけど」
「ああ、なあんだ、そんなの簡単じゃん。小学生だから、有名どころがいいよね?」
「おお、テキト〜に見繕ってくんな」
「じゃ、女性で統一して、ナイチンゲール、キュリー夫人、ヘレン・ケラーってあたりでどう?」
「よくわかんねぇけど、オマエがそう言うならいいんじゃねぇの」
「じゃぁ、彼女たちの功績だけど、まずナイチンゲールはクリミア戦争で」
「あ、ちょっと待て、まず名前からメモるから」
「はいはい」
「よし、じゃぁまず名前の漢字から教えてくれ」
……あああ、あたしとJ子の腐れ縁は、いったいいつまで続くのだろう。誰か教えて。