大矢 :皆さん、こんにちは。大矢です。2004年は大河ドラマ「新選組!」にハマりましたね〜。
大矢はもともと幕末マニアですので、ここは大河ドラマで新選組に興味を持った方のため、
新選組関連本のご紹介をしようと思います。ただ、あたし一人では心許ないので、
「本の雑誌」のエッセイにも登場した新選組ラヴ娘のコイ子にアシスタントをして貰います。
コイ子:こんにちはー♪ コイ子でーす♪ 頑張りま〜〜〜す♪
大:あ、言い忘れたけど、語尾に♪をつけるのは禁止ね。
コ:え〜〜〜、なんでですかあ。コイ子のアイデンティティなのにぃ。
大:局中法度です。語尾ニ♪ヲ附間敷事。右、切腹申付者也。
コ:鬼っ! つか、横書きだから「右」じゃないし。
あ、ところで大矢さんて、前に日記で「新選組は好きじゃない」って書いてましたよね?
好きじゃないわりには、今回の大河は随分ハマってらっしゃったみたいですけど。
大:うん、実は史実としての新選組は、正直あまり好きじゃないの。あたしはもともと会津贔屓で、
だから新選組の暴走さえなければ、会津藩があそこまで恨まれることもなかったのでは、って
思っちゃうのよね。それにほら、天下動乱のときに、やたらと内部抗争ばっかやってるんだもん。
コ:う〜ん、でも本人達は一生懸命なのにカラ回りしちゃって報われない、その悲しさや愚かさが
魅力でもあるんですよ。それにほら、隊士が個性的でしょ? 決してヒーローばかりじゃない、
弱さも欠点も持ってる若者が、迷いながらも走り続ける。青春群像としてはサイコーなんです。
大:うん、それは認める。だからこそ、誰の視点で描くかによって、色んな物語が生まれるのよね。
チャンバラの話にもできるし、政治抗争の話にもできるし、時代ミステリにもなるし、
そしてもちろん青春モノにもなる。今日は、そんな中からお勧めをピックアップしようってわけ。
ということで、この2人で進行してまいります。よろしくお付き合いください。
大きめの文字で書かれた本のタイトルをクリックすれば、楽天ブックスの詳細画面に飛びますので、
価格や在庫状況はそちらでご確認下さいね。
大:ではまず、基本書からいきましょうか。
「新選組始末記」「新選組遺聞」「新選組物語」(子母澤寛・中公文庫)。
いわゆる「新選組三部作」ってやつで、新選組ファンならもう、
基本中の基本だよね。子母澤寛が当時存命だった関係者を取材して、
新選組のさまざまなエピソードをたくさん集めた、新選組本の原典。
新選組が住んでいた八木家の息子・為三郎さんなどに、直接話を聞いて
書いたものなの。この中の1冊、「新選組始末記」が最初に出版されたのは
昭和3年。戊辰戦争から60年後なのよ。それまで新選組はずーっと悪者で
子母澤寛がこれを発表して初めて、新選組を見直そうという風潮が
生まれたのよ。後の新選組本のバイブルとなった本。
ミステリで言えば、クイーンの「ドルリィ・レーン4部作」みたいなもの。
これを読まずにミステリを語れないのと同様、「新選組三部作」を読まずに
新選組は語れません。
コ:あの〜、大矢さんは確か、クイーンは「Yの悲劇」しか読んでらっしゃらないんじゃあ……。
大:(ジロリ)
コ:あわわ。でもぉ、子母澤寛のは昔の本ですから、ちょっと読みにくいところがありません?
基本だっていうんで、頑張って読んだんですけどぉ……。昭和3年なんて、まだ近所の公園に
恐竜がいた時代じゃありませんかあ。それより、新選組通史ということで言えば
「新選組全史(幕末・京都編)」「同(戊辰・箱館編)」(中村彰彦・角川文庫)
の方がお勧めです。現代語だし!
大:子母澤寛だって現代語っちゃあ現代語ですよ。つか、昭和に恐竜はいねーって!
まあでも、確かに中村彰彦の「新選組全史」2冊はお勧めだよね。
なんといっても、虚実入り乱れる新選組の話をちゃんと調べてより分け、
史実か否かを明確にしてるのが良いです。子母澤寛の「新選組三部作」なんて、
他の作家さんがさんざんネタ本にしたあとで、当の子母澤寛が
「あれ、オレの創作も入ってるんだあ」なんて言い出したのよ!
コ:えーーーーっ! ひっどお〜〜〜い! ホントですかそれ。
あの浅田次郎の名作「壬生義士伝」も、確かもとになったエピソードは
「新選組三部作」にありましたよね?
大:そうなの、あれも浅田次郎が調べて、「これは創作だ、南部藩に大野という家はない」って
わかった上で、だったらもっと面白い創作をってんで書いたんですって。
まあ「壬生義士伝」については、またあとのコーナーで詳しくやりましょう。
ところで、今回の大河ドラマで初めて新選組を知ったという人のために、入門書は何かないかしら?
コ:はいはい、まかせて下さい。あたしのビギナー時代はこれに助けられました。
「士道残英 新選組」(学研グラフィックス)です。
主な隊士の紹介から、池田屋事件、新選組の組織や戦法などについて、
カラー写真と資料を多く使って解説してあるムック本なんですぅ。
専門的すぎて解りづらい資料が多いなか、適度な解説ぶりが良かったです。
基本的な年表つきで、なにか確認したい時にも使えます。
史跡めぐりをする時に、地図と交通案内も助かりました。
大:おお、まさに至れり尽くせりなムックなのね。では、あたしからも1冊。全隊士を網羅した
「新選組全隊士徹底ガイド」(前田政記・河出文庫)はすごく便利よ。
初期に粛正されてちょっとだけしかいなかった隊士まで含めて、
現在確認されている全隊士424人のプロフィールが載ってるの。
活動内容のほか、生没年月日、出身地、入・脱退時期、変名、剣術の流派まで。
何がいいって、想像はヌキで、わからないことはわからないって
ハッキリ書いてるのがいいのよね。時期別の組織構成も載ってるし。
隊士のプロフィールなら、早乙女貢の「新選組銘々伝」もあるけれど
これはフィクションも多くてどっちかってえと短編集みたいなノリ。
おまけに単行本で全4巻と、ちょっとお高くなっちゃうのさ。
お金に余裕のある人は、「新選組銘々伝」も読んで欲しいけど
小説なんかに知らない名前が出てきて、誰なのかちょっと確認したい、
という程度なら、ハンディな「新選組全隊士徹底ガイド」の方がお勧め。
ただ、名前から引ける索引がないのが不便で、ちょっと残念だなあ。
重版のときは、ぜひ索引をつけて欲しいな。
コ:え、そんな本が! 沖田さんは何って載ってるんですか、沖田さんは沖田さんは沖田さんは!
大:えーっとねえ……「幾多の新選組小説やドラマで透明なイメージの好青年として描かれることが
多い沖田は『冗談ばかり言っていて真面目になったところを見たことがない』と伝えられる、
根っから陽性の男でもあった」ですって。あ、これ、あたしも同じこと言われるなあ。
コ:いやあああ! やめてえええ! 沖田さんと一緒にしないでええええ!
大:どういう意味?
コ:え……ごほごほっ、あ、持病の労咳が。
大:なんならこの場で介錯するわよ! それはさておき、ノンフィクションの変わり種と言えば
「新選組新聞」( 新選組新聞編集委員会・新人物往来社)が秀逸。
これはね、浪士組結成の頃から五稜郭の最後までを、新聞形式に
まとめたヘンな本なのよ。事件の報道だけじゃなく、社説があったり、
広告があったり。かなり笑えるわよ。でも大事なことはしっかり抑えてるし、
同じ時期に何があったかってのが時系列でわかるし、
笑えてタメになって、遊び心も満載で、これはファンなら必携の一冊。
コ:「局長の芹沢鴨氏から、本紙の報道に誤りがあると抗議を受けたが、
本紙は綿密な取材に基づいて報道しているので、訂正するつもりはない」
っていう告知を出したりするんですよね。凝ってるなあ。
慶應義塾の塾生募集広告とかにも笑いました。
大:では、フィクション編は次のページで。