85万ヒット突破記念・公募企画

阪神が優勝すればミステリが売れる


 予め宣言しておくけれど、こんな企画をやっているがあたしはドラゴンズファンだ。だから今年(2003年)の、何かにとり憑かれたような阪神タイガースの快進撃は、もう悔しくて悔しくて。いや、二十年に一度のことだから祝ってあげたい。でも、でもね、その指揮官がこないだまで中日の顔だった星野だってのが悔しいんだよお。阪神の快進撃は、ドラゴンズが星野を貸してやったればこそじゃないかあ! ばかあ! 利子つけて星野を返せ〜! せめて中日戦には負けろ〜!

 ……と嘆いていても始まらない。2003年7月24日現在、首位を行く阪神はマジック38。2位でありマジック対象チームでもある我がドラゴンズとは、16ゲーム差(くらくら)。ええ、認めますとも。ここへ来てどこぞの在京球団みたいに「メークミラクル」なんてミットモナイことは、言いません。今年の優勝は阪神です。阪神ですとも。おめでとうございます。しくしく。

 すっかり消えてしまったセリーグの灯。こりゃ他球団のファンとしては、何か他に楽しいことでもなくちゃやってられないわ。ってことで思いついたのがこれ。「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があるけれど、ミステリが売れるというような状況を生み出してくれるのなら、阪神の優勝も悪くないんじゃない?
 そして皆様から集まった作品の数々。さあ、とくとご覧アレ。そして優勝が決まった後、果たしてこのような状況が訪れますかどうか。

 まずは、あたしが作ったサンプルから。何も考えず即興で作ったようなものなので出来はイマイチだけど、基本ネタということで。

 大矢なまもの!

         阪神が優勝する。
      → 道頓堀にファンが飛び込む
      → 飛び込んだ人がケガをしたり風邪をひいたりする
      → 病院が繁盛する
      → 病院の待ち時間が更に長くなる
      → 待合い室での暇つぶしに、本を読む人が増える
      → しかし、何を読めばいいのかわからない
      → とりあえず、本屋に行ってみる
      → 平台に「このミステリがすごい!」という本が積まれている
      → 「なるほど、ミステリってすごいのか」と思う
      → ミステリが売れる

 さて、これをご覧になったなまもの読者の皆様が「この程度のネタで満足してるようじゃ、大矢も落ちたな」だとか「阪神ネタなら我に!」だとかで、作品をお寄せ下さいました。以下、どどんとご紹介。
 尚、大矢が個人的に気に入った優秀5作品は別ページにて紹介してますが、まぁ、それはあとのお楽しみにとっておいて。

 まずはこの2作品。どちらもテーマは同じですね。

 よしだ まさしさんガラクタ風雲

         阪神が優勝する。
      → その史上最大の謎の解明にみんなが夢中になる
      → 謎解きの魅力にみんながとりつかれる
      → ミステリが売れる

 N良H子さんパラダイス・カフェ

         阪神が優勝する。
      → みんな不思議がる
      → なんとか謎を解明しようとする
      → 悩んだ先に行きつくところは…
      → 『この世には不思議なことなど何もないのだよ』と京極夏彦を知る
      → 【大極宮】を知る
      → 大沢在昌、宮部みゆきを知る。読む。
      → 「なるほどミステリはおもしろいっ!」と確信する
      → ミステリが売れる

 阪神優勝って、やっぱり謎なのか。でも、謎を解こうとせずに素直に喜ぶと、こうなります。

 mihoroさんayalist

         阪神が優勝する。
      → 北村薫さんが喜びのあまり、小説を量産。
      → 有栖川有栖さんも狂喜乱舞、勢いに乗って小説を量産。
      → 東野圭吾さんも(確か阪神ファン)直木賞のことなど忘れて、小説を量産。
      → (他にも‥『新本格猛虎会の冒険』執筆者とか)が波に乗って、小説を量産。
      → 良質なミステリがたくさん店頭に並び、ミステリが売れる。

     (我孫子武丸さんは関西こぞって阪神阪神騒ぐのが気に入らなくて、囲碁に逃避。
      新作(本格ミステリ・マスターズ)の刊行がさらに遅れる‥
      のは悲しいので、趣味が高じて囲碁ミステリを執筆、新境地を開く。)

 あははは、我孫子さんの項が切なくてステキ。この「新本格猛虎会の冒険」(北村薫他・東京創元社)を過程に組み込んだ方は、他にもいらっしゃいました。

 匿名希望さん

         阪神が優勝する。
      → 連日連夜の飲み会になる
      → 財布が急速に淋しくなる
      → ボーナスが出るまで家にまっすぐ帰ってネットする
      → 折しもネット上に「読書の秋」という言葉が踊る
      → とりあえず阪神優勝関連の書籍だけ買い漁って余韻に浸る
      → その中に「新本格猛虎会の冒険」が紛れ込む
      → 「へー、結構面白いやん」
      → と何気なく日記に書く
      → 同じ執筆者のこっちの本も読めという感想が多数舞い込む
      → 「へー、ミステリって面白いやん」
      → ミステリが売れる

 阪神優勝のために死ぬなら本望ですが、他球団のファンごときに殺されるのは
  死んでもいやなので、匿名で応募するケ●さん
勝手にカルテット

         阪神が優勝する。
      → 日本全国の巨人ファンのテレビを見る気が失せる
      → 本でも読もうかと本屋に行く
      → 折悪しく、優勝記念で『新本格猛虎会の冒険』が平積みになっていたりする
      → 巨人ファン、殺意を覚える
      → 巨人ファン、それぞれの殺意の対象を抹殺するために勉強する気になる
      → しかし、何を読めばいいのかわからない
      → 「そうだ、ミステリを読もう!」
      → ミステリが売れる

 書店で「新本格猛虎会の冒険」を購入したのが阪神ファンなのか巨人ファンなのかで、こうも結末が異なるものか。面白いなあ──と思ったけど、結末はどっちも「ミステリが売れる」だった。それにしても、すごいタイミングで出版したよなあ>東京創元社。20年に1回の優勝の年に合わせるなんて。来年は是非、「新本格昇竜会の冒険」を出して下さい。
 ところで、この中で、●ダさんが言及された「巨人ファン、殺意を覚える」という項目ですが、これをより明確にして下さった作品が、こちら。

 茗荷丸さん瑞澤私設図書館

         阪神が優勝する。
      → 阪神ファンが歓喜に包まれる(大フィーバー)
      → 巨人ファンは悲哀のどん底に突き落とされる
      → 当然の如く戦犯探しが始まる
      → なんだかんだあって結局はナベ○ネこそ最大の悪という結論が出る
      → この際だから殺してしまえ!
      → でも、ナベ○ネごときを葬ったせいで捕まるのはまっぴらごめんだ
      → 捕まらないためには完全犯罪を実行しなければ
      → まずはじっくり計画を練るために予習が必要だ
      → できるだけたくさんの参考書を買いに行こう
      → ミステリが売れる

 ひ、ひえっ。くわばらくわばら。あたしは何も言ってませんよ。ええ、言ってませんとも。コピー&ペーストしただけなんだからッ。えーっと、どうしよう。あ、そうだそうだ、巨人ファンによる、もっと温厚なネタを紹介しましょう。実はメールによる応募じゃなくて、ご自分のサイトで披露して下さったネタなんだけども、茗荷丸さんとのバランスをとるためには是非ともご登場戴かなければ……。

 よしさん3946番目の密室

         阪神が優勝する。
      → 巨人は驚異的な追い上げを見せるものの、0.5ゲーム差の二位。
      → 一部の巨人ファン(僕)は考える。
        「阪神の全選手を抹殺すれば、巨人が繰り上げ優勝になるのではないか!
         犯行がバレないようにミステリ作品を参考にしよう!」
      → 阪神上位打線を密室トリックで殺害。
      → 阪神下位打線をアリバイトリックで殺害。
      → 阪神投手陣を『陰摩羅鬼の瑕』で撲殺。
      → ついでに首脳陣を日常の謎で混乱させておく。
      → 調子に乗った犯人(僕)は善意の第三者を装い、「阪神連続殺人事件の謎を
        解いた!」と自慢気にサイトで発表。流用したトリックと作品名を列挙する。
      → ■「阪神連続殺人事件」の真相(情報元:3946番目の密室
           ミステリ作品のトリックが使われているそうです。ホントかな?
        と、うっかりみすらぼのトピックスに載ってしまう。
      → マスコミが取り上げる。
      → ミステリがそれはもう売れる売れる。
      → 俺極刑。

 きゃあ。ぜんぜん温厚じゃなかったよ! ただ、首脳陣には「日常の謎で混乱させる」に留めるあたりは良識派といえよう。ええ、星野には無傷で中日に帰ってきて貰わないといけませんから。
 とまれ、もはや事態は、ファン同士の泥仕合の様相を呈してきた。実は「泥仕合」に関してはもっとすさまじいネタがあったのだが、それは優秀作品のページにて。
 その前に、より素直でストレートな作品たちをお楽しみ下さい。

 T坂M子さん

         阪神が優勝する。
      → 星野監督がクローズアップされる。
      → 星野監督の出身地である岡山県も話題になる。
      → 「岡山出身の有名人」というコラムが新聞に載る。
      → その中に「横溝正史・作家」という記述がある。
      → 星野と同郷なら、読んでみようかと思う。
      → 「犬神家の一族」を読む。
      → 星野も阪神も出てこない。
      → 「八墓村」を読む。
      → 星野も阪神も出てこない。
      → でも、まだたくさん本が出版されてるから、いつか出てくるだろう。
      → 星野か阪神が出てくるまで横溝作品を買い続ける。
      → ミステリが売れる

 匿名希望さん

         阪神が優勝する。
      → 各選手へのインタビューが連日各メディアを賑わせる
      → みんなだんだん話すことがなくなる
      → 野球と関係ない趣味の話なんかしてみる
      → 「ミステリをよく読みますね」
      → へえ、星野さんって○○○○○が好きなんだ
      → ファンがこぞって買う
      → えっ、井川が○○○好き? マジで?
      → ファンがこぞって買う
      → ええっ、金本って○○○○読むの?
      → ファンがこぞって買う
      → えええっ、アリアスって○○○・○○○○の大ファンなんだ!
      → ファンがこぞって買う
      → ええええっ、トラッキーの中の人って実はミステリマニアなの!?
      → ファンがこぞって買う
      → ミステリが売れる

 M野H樹さん

         阪神が優勝する。
      → 阪神電鉄沿線がお祭り騒ぎになる
      → 近辺の、関西人にはお馴染みの“尼崎競艇”も活気づく。
      → 同時にマスメディアの力で全国から人が集まる、尼崎競艇にも。
      → 一見さんVS常連さんの構図ができる。
      → 常連さんは排他的で競艇場内は物々しい雰囲気になる 。
      → 一見さんはどうしても常連さんにひと泡吹かせたくなる 。
      → 同時に、常連さんは「よそ者には負けられない」と躍起になる。
      → とりあえず、本屋に行ってみる。
      → 賭け事に関する本を漁りまくる 。
      → そのうち誰かが森巣博に出会う。
      → ハウツーではなかったけれど、面白いなと思う。
      → 慎重性を欠くオヤジさんたちは、当然間違って森博嗣を買ってしまう。
      → もう、賭け事でもなくなってしまったけれど、面白いなと思う。
      → ミステリを読んでいる自分に酔う。特に娘に自慢したくなるる。
      → 森ミステリィが売れる

 Uさん

         阪神が優勝する。
      → 掛布がテレビに引っ張りだこ
      → あまりの忙しさに髪の毛のセットを忘れる
      → 照明が掛布の頭に反射する
      → 視聴者は眼をそむける
      → そむけすぎて首がゴキッと鳴る
      → 痛さに思わず流した涙が、かん違いを誘う
      → ベビーブーム
      → 読み手が増える
      → ミステリが売れる

 「痛さに思わず流した涙が、かん違いを誘う」の次でいきなり「ベビーブーム」というセルゲイ・ブブカ並のジャンプが大好きです。実はこれ、優秀作品入選を最後まで争った作品なのよね。甲乙つけがたく、くじびきでこちらに入ってしまいました。ごめんなさいUさん。出来は優秀作品に充分互してますことよ。
 そして、思わず「そうよね」と答えてしまったこの作品をご紹介して、一般作品の〆としましょう。

 よしだ まさしさんガラクタ風雲

         阪神が優勝する。
      → 本でも読まなきゃやってらんない
      → ミステリが売れる

 うわははは。「可能なかぎり短いバージョンを考えてみました」というお言葉通り、贅肉ゼロの展開。「そうよね」としか言えない、押しの強さを見たね。

 さて、ではいよいよ、優秀5作品の発表です! こちらへどうぞ!


優秀作品のページに進む
オープニングページに戻る