ゲゲゲの女房

 『ゲゲゲの女房』を毎朝楽しみに見ている。個人的には連ドラ史上『てるてる家族』に匹敵するヒット。……って、今気付いたが、昭和が舞台なのがツボなのかなあたし。

 でもって今朝の『ゲゲゲの女房』で、ヒロインの父親が脳梗塞で倒れるというシーンがあった。
 ダンナが脳出血をやって以来、こういう場面になると「おっ」と思って身を乗り出してしまうのよね。別に辛いとか忌避感だとかはまったく無くて、「どこまでリアルかな? どういう症状を想定してどういう演技をするのかな?」と興味津々で見ちゃうのだ。いい趣味とは言えんが。

 そこで『ゲゲゲの女房』の大杉漣さんの芝居はというと。
 意識を保ったまま、まず右麻痺を発症。湯のみを取り落とし、「おかしい」と言いながら、座ってもいられず床に転がるという形。お、うちのダンナのケースに似てるぞ。そうそう、麻痺は右だけだけど、バランスがとれないから倒れちゃうんだよね。
 言葉も、ちょっと発音しにくいってな感じのお芝居をしてるが、失語はなかったという設定らしい。よかったなあ。まあ、ドラマで失語症を表現するのはややこしくてしょうがないってだけのことだろうけど、フィクションですら「右麻痺?! だったら失語は?!」と気にするようになった自分がいることよ。
 つか、奥さん、倒れたダンナをゆすっちゃダメだろ。「大丈夫?!」って騒ぐだけじゃ事態はかわらんつーの。まず119通報。と思ったら「××先生呼んできて!」……ああそうか、そういえばうちの田舎でも、すぐに飛んで来てくれる掛かり付け医がいたよな。

 そしてそこから日が経って「軽くて済んだ」という説明が入った後。
 入院を嫌がったので自宅で布団に寝てるという形だったんだが、いや、入院しようよ! 本人は自宅の方がいいかもしれんけど、それ、家族たいへんだから! 特に同居してる長男の嫁がめちゃくちゃたいへんだから! この頃ってまだ介護保険制度もないし、入院しなかったら負担がぜんぶ家族に行くじゃないか。
 しかも布団て。右麻痺が出てるのに、ベッドくらい用意したらどうか。もう昭和も終わりの頃なんだから、ベッドだって普通に使ってるだろうに。もしかして右手がダメなだけで、足は大丈夫だったってことなんだろうか。でも、だったら寝てる必要はなかろう。

 同種のドラマで思い出すのは 『Dr.コトー診療所 2004スペシャル』で朝加真由美さんが右麻痺&運動性失語症を演じていた回。なかなかりリアルだった。リハビリとか、用語とか、リハビリ入院先を探すとか、家庭での介護の苦労とか、自助具とか、改築とか。そういうのも含めて、制作スタッフや俳優さんたちは相当リサーチされたんだろうなあ。

 このスペシャルはダンナの発症の前の放送だったんだけど、ダンナが同じ立場になったあとで、DVDを見返して感心したことであったよ。ただウチの場合、なんか全般にもっと淡々と対応してた気がする。ドラマのような「身を切るがごとき慟哭」みたいな状況にはならなかったなあ。何も考えてなかっただけですかそうですか。