M点灯せず。べ、別に悔しくなんかないんだからねっ!

 今日、中日が勝てばマジック3が点灯するはずだった。途中で巨人が負けたので、勝った場合のマジックは2になった。のだが。
 まあ、そう巧くはいかんわなあ。エース吉見を擁したとは言うものの、考えてみれば今までの大型連勝も連続無失点記録も、たいがい吉見で途切れてるんだから(エースなのに?)。切り替えていきましょ。それに今日は開始前から、もしかしてヤバいかなとは思っていたことだし。……それは何故かというと。

 こういう仕事をしていると、仕事で知り合った編集さんが「実は私、中日ファンなんですよー」とカミングアウトしてくる、ということが時々ある。文壇では(特にミステリ業界では)阪神ファンの勢力が強く、阪神ファンの作家さんたちが
『新本格猛虎会の冒険』てなアンソロジーを出してるし、阪神や巨人をモチーフにした野球小説は後を絶たないほどなのだが、どうしてなかなか、ドラゴンズ勢もちゃんといるのだ。ひそやかに。しめやかに。引き出しの片隅とかに。床の下とかに。中日ファンはアリエッティか。

 小説世界でドラゴンズがどう扱われてきたか、
『本の雑誌』09年7月号 にて「中日ドラゴンズ小説にエールを贈る」というテーマであたしがドラゴンズ小説を紹介してるんで、興味のある人はお読み下さい。宣伝ですねすみません。最強のドラゴンズ小説として某ミステリを挙げてます。その著者はもちろんドラゴンズファンです。

 閑話休題。
 現在、B社の文庫解説のゲラチェックをしているのだが、その担当編集B嬢もドラゴンズファンである。東京の人なのに見上げた心意気である。ただ今年は「神宮での観戦、全敗」だと言う。まあそもそも今年は神宮でまったく勝ててないので、そういう人は多いだろう。
 そのB嬢が、今日はナゴヤドームまで観戦に来るという。一人ではない。出版社の垣根を越えてドラゴンズファンの編集者2人、そして熱烈なドラゴンズファンである某人気作家の××さんも一緒だという。

 ところがこの××さん、「行くとドラゴンズが負ける」という傾向にあるらしい。
 歴史小説の大御所にしてドラゴンズファンである作家のM先生などは、先日わざわざB社の編集長に「週末の神宮に、××さんが行っていたのではないか?」と電話で確認してきたほどだそうな。
 そしてまた、B嬢と××さんに同行する他の編集者も、前述のM先生から「君も球場には行かないでくれ」とお達しが出るくらい、絶品の負け率を誇っているという。
 そこに「今年の神宮全敗」のB嬢である。こいつらが来るというのだ。今日のナゴドに。勝てばマジック点灯という正念場に、天王山に、剣が峰に、来るというのだ。なんでだ。なんでそんなことになったんだ。やって良いことと悪いことがあるだろう。落ち着いて考えてみろ。

 「だってホームゲームって憧れなんだもん」
 
 まあその気持ちは分かるけどさ。
 その話をツイッターに書くと、もうあらゆるところから「豪雨で新幹線止まれ」の大合唱。一方、阪神ファンのフォロワーさんからは「ウエルカム!」と大歓迎。実際、熱海でちょっと足止めを食らったらしいが、無事に着きやがった。

 結果は皆さんご存知の通り。どんだけパワーあるんだこいつら。
 異様な勝率を誇るナゴドですら、こいつらの負けオーラにはかなわないのか……。

 試合後、彼らは
郭源治の店で夕食を食べると言っていた。郭源治にドラゴンズ魂が残っているのなら、やつらをそのままどこかに閉じ込めておいて戴きたい。

 そして夜、B嬢からメッセージが届く。

 「日曜の神宮のチケット、入手済み」

 東京の同志よ、誰でもいいから全力でこいつを止めてくれ。
 救いがあるとするならば、××さんが同行しないことだけだ。