誕生日

 何度目の? なんてことを訊く思いやりのない子は、おばちゃん大嫌いです。

 てか本人もそろそろわからなくなってきた。隠すとか若く見せるとかじゃなくて、ホントにわかんなくなるのよトシとってくると。「こないだ、何かの書類に45歳って書いたよな」という記憶はあっても、それが去年のことか今年のことか思い出せないので、何の参考にもならない。現在、少なくとも45歳未満ではないということがわかるだけだ。

 とまれ、今年が2010年でー、生まれたのが1964年だからー、0から4は引けないからー、10借りてきてー、みたいな計算をしないと自分のトシがわからないという状態。「そんなアホな」と思う若い嬢ちゃん坊ちゃんも、40過ぎたらわかるよ。
 たとえば10円玉をばらまいたとして、それが10枚そこそこならぱっと見、何枚あるかわかるでしょ。でも40枚以上になると、一目見ただけじゃ何枚あるかなんてわからないじゃん。なんか比喩が激しく違う気がするが、まあいいか。46歳から何かが解禁されるってわけでもないしさー。

 ところで、うちの母は10年以上にわたって「38歳」と言いはっていた時期があって、ある日、さすがにもう無理だと気付いたのか、急に「52歳」に変わったことがある。空白の14年間。
『スキップ』か。それからやはり10年くらい52歳であり続けた。
 それももうさすがに無理だろうが、今はいくつと答えてるんだろう。っていうか、本当はいくつなんだ母ちゃん。実の娘もわかんなくなってるぞ。

 それで以前、伯母(母の姉)に尋ねてみたことがある。少なくとも伯母よりは母の方が若干年下のはずだ。だから伯母の歳がわかれば、母の歳もおおよその見当はつく筈。ところが。
 「伯母ちゃん、歳いくつ?」とあたしが尋ねたとき、伯母は「歳? あたしの歳? あははは、あーはっはっは、ほーっほっほっほ」と笑いながら、どこかへ行ってしまった……。

 いえ、別にいいんですけどね。
 本人たちも誤摩化しすぎて、自分でもわかんなくなってると見た。

 そして誕生日が来る度に思い出す、07年のドラゴンズの日本一。
 山井→岩瀬の、あの継投完全試合はあたしの誕生日の出来事だったんだぞーふっふっふ。
 あたしの誕生日はもはや自分だけのものではない、全ドラゴンズファンの記念日になっているのだ。この日に生んでくれてありがとうお母さん。なんという先見の明であろう。