「で」
10/10/27/Wed 格納先:身辺雑記
日本語の「で」という助詞には、手段と目的(あるいは理由)の意味がある。まあ、それより場所を示すのが第一義なんだが、それはちょっと置いといて。
わかりやすいのは「私は○○で●●に行った」という文章。
手段を表す「で」
私は新幹線で東京に行った。
彼は徒歩で公園に行った。
中日ナインは飛行機で札幌に行った。
目的(理由)を表す「で」
私は仕事で東京に行った。
彼はデートで公園に行った。
中日ナインは交流戦で札幌に行った。
その「で」が何を表しているのかは、文脈でわかる。
ここで気をつけたいのは目的を表す場合は言葉が省略されているという点だ。「仕事で」「デートで」「交流戦で」というのは、「仕事(デート/試合)をするための場所として」と言うのが正確な日本語である。つまり「で」というのは「〜をするための場所として」を簡単に言い換えているに過ぎない。つまり、冒頭に書いた第一義の方だ。
そう考えると、日本語というのは「前後の脈絡」に頼っている部分が大きいことに気付くだろう。
(1)中日ナインは交流戦で札幌に行った。
(2)中日ファンの友人は交流戦で札幌に行った。
1の場合は「出場するために」であり、2の場合は「観戦するために」である。出場と観戦ではまったく違うが、そこは主語や前後の文脈から、聞き手(読み手)にはちゃんと伝わるようになっている。主語が「記者は」だったら交流戦の取材(仕事)で行ったんだろうし、主語が「テロリスト」だったら何か犯罪をもくろんでると思うし。そしてもちろん、「交流戦」の部分が飛行機だの車だのとなっていれば、「目的ではなく移動手段を示している」ということを聞き手は説明されずとも即座に理解する。
これはコミュニケーションとしてはけっこう高度な事だと思う。言葉ってすごい。
ところで。
こないだの日曜、仲良しの三婆……ごほごほっ、三人娘と書店巡り&ディナーで(この「で」は目的を表す)名駅に出たという話を日記に書いた。三人娘というのは、いつみ、かおかお、そして敢えて名を秘す●いん嬢の三人である。
この、敢えて名を秘すこ●ん嬢の趣味は乗馬である。彼女は馬に乗るために、あちこちの乗馬クラブや乗馬イベントに参加している。そしてイタメシ屋さんで歓談中、こい●嬢はこんなことを言った。
「あたし、馬で大分に行ってきました〜」
いくら「文脈」というものがあろうとも、その瞬間、聞いていた三人の脳裏に、名古屋から大分まで高速道路を疾走する馬が浮かんだのは、決して責められないと思う。
カードと車載機を鞍に設置し、ETCレーンを突っ切る馬。
サービスエリアで、バイクと並んで駐輪場に立つ馬。
関門橋を渡る馬。
いやそれ以前に、馬は軽車両扱いだから高速道路は通れないんじゃなかったか。じゃあ下道か。信号待ちをする馬。マクドナルドのドライブスルーで順番待ちをする馬。ガソリンスタンドで飼い葉を食む馬。
たとえ日本語がコミュニケーションツールとして高度であろうと、それはなんぼなんでも無茶だよこいん。
わかりやすいのは「私は○○で●●に行った」という文章。
手段を表す「で」
私は新幹線で東京に行った。
彼は徒歩で公園に行った。
中日ナインは飛行機で札幌に行った。
目的(理由)を表す「で」
私は仕事で東京に行った。
彼はデートで公園に行った。
中日ナインは交流戦で札幌に行った。
その「で」が何を表しているのかは、文脈でわかる。
ここで気をつけたいのは目的を表す場合は言葉が省略されているという点だ。「仕事で」「デートで」「交流戦で」というのは、「仕事(デート/試合)をするための場所として」と言うのが正確な日本語である。つまり「で」というのは「〜をするための場所として」を簡単に言い換えているに過ぎない。つまり、冒頭に書いた第一義の方だ。
そう考えると、日本語というのは「前後の脈絡」に頼っている部分が大きいことに気付くだろう。
(1)中日ナインは交流戦で札幌に行った。
(2)中日ファンの友人は交流戦で札幌に行った。
1の場合は「出場するために」であり、2の場合は「観戦するために」である。出場と観戦ではまったく違うが、そこは主語や前後の文脈から、聞き手(読み手)にはちゃんと伝わるようになっている。主語が「記者は」だったら交流戦の取材(仕事)で行ったんだろうし、主語が「テロリスト」だったら何か犯罪をもくろんでると思うし。そしてもちろん、「交流戦」の部分が飛行機だの車だのとなっていれば、「目的ではなく移動手段を示している」ということを聞き手は説明されずとも即座に理解する。
これはコミュニケーションとしてはけっこう高度な事だと思う。言葉ってすごい。
ところで。
こないだの日曜、仲良しの三婆……ごほごほっ、三人娘と書店巡り&ディナーで(この「で」は目的を表す)名駅に出たという話を日記に書いた。三人娘というのは、いつみ、かおかお、そして敢えて名を秘す●いん嬢の三人である。
この、敢えて名を秘すこ●ん嬢の趣味は乗馬である。彼女は馬に乗るために、あちこちの乗馬クラブや乗馬イベントに参加している。そしてイタメシ屋さんで歓談中、こい●嬢はこんなことを言った。
「あたし、馬で大分に行ってきました〜」
いくら「文脈」というものがあろうとも、その瞬間、聞いていた三人の脳裏に、名古屋から大分まで高速道路を疾走する馬が浮かんだのは、決して責められないと思う。
カードと車載機を鞍に設置し、ETCレーンを突っ切る馬。
サービスエリアで、バイクと並んで駐輪場に立つ馬。
関門橋を渡る馬。
いやそれ以前に、馬は軽車両扱いだから高速道路は通れないんじゃなかったか。じゃあ下道か。信号待ちをする馬。マクドナルドのドライブスルーで順番待ちをする馬。ガソリンスタンドで飼い葉を食む馬。
たとえ日本語がコミュニケーションツールとして高度であろうと、それはなんぼなんでも無茶だよこいん。