お薦めの箱根駅伝小説

 旧サイトの頃から長年ご覧戴いている方々から、「カテゴリだのタグだのよりやっぱりリストでしょ五十音順でしょアナログ上等でしょ!」というリクエストを受け、書評のページのサイドバーから書評一覧に飛べるようにしました。でもリニューアル後にアップしたなまもの書評はほんのちょっとだけなので、一覧にするとかえって寂しい……。こうしてみると、旧サイトの書評リストは我ながらバカじゃないかってくらいの量があったんだなあ。数だけは。どんな低レベルでも続けるってすごいことなのね。

 さてお正月はだらだら過ごしてます。やっぱ箱根でしょ。若い頃は「かっこいいお兄ちゃんたちが走っている」という目で見ていたものが、今やすっかり息子を見る目になっている。今年は途中でフラフラになって「もういいから、誰も責めないから止まって!」と言いたくなるような辛い場面がなくて、最後までエキサイティングでいいレースでございました。

 ところで、ニュースで箱根駅伝の映像が流れる度に、早稲田の子に「そこ滑るから気をつけて!」、国学院の子に「そこ道違うから気をつけて!」と声をかけてしまうのはあたしだけだろうか。そして何度注意しても同じ場所で転び、同じ場所でミスコースする彼らに「だから言ったのに!」と本気で怒っているあたしはまぎれもなくおばちゃん。

 それにしても箱根は、フジのフィギュアスケートやTBSの世界バレーのような、芸能人つれてきてお祭り騒ぎ的中継をしないのがいいね。ムダな煽りやお涙頂戴も殆どない(まったくないワケじゃないが、許容範囲)。スポーツはそれだけで充分ドラマティックなのだということを証明しているよ。さすが日テレは、スポーツ中継には一日の長がある。

 さて箱根駅伝と言えば思い出すのがこの5作。

  10130151  10116758  16777101
       
40855023  0627683506276836

 書影をクリックすると楽天ブックスの書誌データに飛びます。
 安東能明
「強奪箱根駅伝」(なまもの書評にリンク。以下同じ)はサスペンス、三浦しをん「風が強く吹いている」は青春&友情小説、桂望実「Run! Run! Run!」は青春&家族小説、堂場瞬一「チーム」はスポーツ小説、そして黒木亮「冬の喝采」は成長小説といった感じでしょうか。あ、「冬の喝采」だけ書評書いてなかった。つ、痛恨……。

 ベクトルの違う5作だけど、いずれもレースの描写が実に素晴らしい。タイプが違う分、最低でもどれか1冊はお気に召すのでは。特に、青春スポーツ小説というくくりで語られがちな箱根駅伝を「中継する側」の視点でサスペンスに仕上げた
「強奪箱根駅伝」はミステリ者なら一読の価値ありですよ。