初めてのパーティ・望郷編
10/10/08/Fri 格納先:仕事
前回までのあらすじ1・2・3・4・5
黒田がいるという和民に向かう。駅まで出てもう一度電話すればフクさんが迎えに来て下さるとのことだったが、駅に着く手前で和民を見つけた。電話で確認するとそこで間違いないらしい。
言うまでもないことだが、立志編で黒田が駅のホームで「いつもあのあたりで飲んでる」と言いながら指差したビルとは、まっっっっっっったく別の場所だったことをここに報告しておきます。
わざわざフクさんが店の入り口で待っていてくださり、そのまま案内して戴く。そうかフクさんて幹事体質なんだな……。名古屋オフのメンバーに似たタイプがひとりいるな、rosioさんとフクさんで幹事対決させてみたいな、などと考えてるうちに個室へ。おお、なんかみっちり人がいるよ。えっと、12人くらいいる?
手前の場所をあけていただき、フクさんと政宗さんの間に座る。向かいにいらした千澤のり子さんや汀こるものさんにご挨拶。ただ、それ以外が誰が誰なのかさっぱりわからん。黒田の隣に千街晶之さんがいらっしゃるのがわかっただけだ。でもって千街さんとは3年前に一度お仕事で会っただけなので、おそらくあたしのことは覚えてらっしゃらないだろう。そもそも、もうすっかり場が出来上がってるところに途中から入って自己紹介してまわるってえのも無粋だし、とりあえず芋焼酎呑もう。
ただ、テーブルの奥の方から時折「オオヤさんが」「オオヤさんに」という声が聞こえてくるのが気になった。ここがホームグラウンドの名古屋なら、片足をテーブルに上げて諸肌脱ぎ、「言いたいことがあるならはっきりおっしゃい! 素手の喧嘩なら表で買うわよ!」と啖呵を切るところだが、ここはアウェー、あたしは新参者。ものすごく気になりつつも、つとめて芋焼酎に集中。
ちょうど頃合いだったこともあり、芋焼酎を1杯飲むまえにこの場はお開きとなった。結局、誰だったのかわからないまま多くの人と別れる。うーん、誰がいたんだろう……。そして近場に宿をとっている残った面子で改めて三次会に出ることに。その面子というのが。
「錦通信」「UNCHARTED SPACE」「政宗九の視点」「くろけんのミステリ博物館」「なまもの!」
現存サイトにも敢てリンクはしない。この並びを見ただけで分かる人には分かるだろう。1996年から97年にかけて、個人ホームページ黎明期にミステリ系サイトを立ち上げたメンバーの顔合わせだ。それがサイト開設から13〜14年経って一堂に会すの図。ちょっと奥さん、これってすごくね? これってなんか、初対面なのに同窓会みたいじゃね? まあ、初対面なのはあたしだけなんだけどさ。
「いいサイトがあったらソースを見て、コピーしたりしてましたよね」
「HTMLのタグを全部手打ちしてましたもんねえ」
「フレームって、初めて見たとき感動しませんでした?」
「ネットするのはテレホーダイの時間だけで」
「ニワトリが絞め殺されるようなモデム音が」
「あの頃ってサイトオーナーも読者も互いに距離の取り方がわからなくて」
「平気で個人情報書いてたよなあ」
「変なメールとかもらったりしたよね」
「でもコメント欄の概念がなかったから、炎上とは無縁だったね」
「そうそう、でもどっかの掲示板で攻撃されてたりして」
あたしらは御一新前を懐かしむ明治の年寄りか。
でもホントにそんな時代だったのよ。なんつーか、同胞感ハンパねえ。このうち二人が作家となり、二人が書評家となり、一人はカリスマ書店員として名を上げた。こんな未来が待ってるなんて、夜中にちまちまとタグを手打ちしていて「おお、太字に出来た」と喜んでいた時代には予想もしてなかったよなあ。ましてや、その面子でこうして飲んでるなんて。ただ単に、井上夢人さんの「99人の最終電車」を読みたいがために始めたネットだったのに。
その後は作家になった「ミステリ博物館」オーナーの初期作品に於ける致命的な欠陥の話とか、「錦通信」オーナーの出世作に於ける深層心理とか、煙草やめたとかやめないとか、結婚してるとかしてないとか、結婚の前に社会人として果たさなくちゃならないことがあるんじゃないのかとか、黒田とあたしのなれそめ(そんなものはない)とかを話しながら夜は更ける。
ただ、いくら小説技法の話とは言え、いいトシした大人が大声で「俺はレイプは好きじゃないな」「ええ、俺はレイプ、いいと思うけどなあ」「そもそもレイプの意味ってさあ」「でも殺人とレイプのどっちがいいかって言ったら」「俺はレイプ好きだけどなあ」なんて話をするのはやめた方が良かった、と今にして思う。
そうそう、このメンバーの共通点がもひとつあった。
みんな、サイトのイメージ、そのまんま。口調も物腰も、すべてあのまんま。
だから初対面って感じがしないのだ。文は人也って、ホントだよなあ。
おっと、ただ、あたしだけは、サイトのイメージよりかなりおとなしくて控えめでキュートで、ちょっぴり寂しがり屋のお茶目な主婦さ、ということだけはお断りしておかねば。
ちなみに、ふと思い出して「錦通信」オーナーに「さっき和民でオオヤさんが、って話してませんでした?」と尋ねたら、アパートの大家さんの話だったことが判明。おお、リアル叙述トリック!
存分に喋ってホテルに戻り、更に部屋で黒田とちょっと飲んで、ようやく長い一日が終わった。初めてのパーティ体験、最後はすっかり、オフ会。さあ、あとは帰るだけだ。
黒田がいるという和民に向かう。駅まで出てもう一度電話すればフクさんが迎えに来て下さるとのことだったが、駅に着く手前で和民を見つけた。電話で確認するとそこで間違いないらしい。
言うまでもないことだが、立志編で黒田が駅のホームで「いつもあのあたりで飲んでる」と言いながら指差したビルとは、まっっっっっっったく別の場所だったことをここに報告しておきます。
わざわざフクさんが店の入り口で待っていてくださり、そのまま案内して戴く。そうかフクさんて幹事体質なんだな……。名古屋オフのメンバーに似たタイプがひとりいるな、rosioさんとフクさんで幹事対決させてみたいな、などと考えてるうちに個室へ。おお、なんかみっちり人がいるよ。えっと、12人くらいいる?
手前の場所をあけていただき、フクさんと政宗さんの間に座る。向かいにいらした千澤のり子さんや汀こるものさんにご挨拶。ただ、それ以外が誰が誰なのかさっぱりわからん。黒田の隣に千街晶之さんがいらっしゃるのがわかっただけだ。でもって千街さんとは3年前に一度お仕事で会っただけなので、おそらくあたしのことは覚えてらっしゃらないだろう。そもそも、もうすっかり場が出来上がってるところに途中から入って自己紹介してまわるってえのも無粋だし、とりあえず芋焼酎呑もう。
ただ、テーブルの奥の方から時折「オオヤさんが」「オオヤさんに」という声が聞こえてくるのが気になった。ここがホームグラウンドの名古屋なら、片足をテーブルに上げて諸肌脱ぎ、「言いたいことがあるならはっきりおっしゃい! 素手の喧嘩なら表で買うわよ!」と啖呵を切るところだが、ここはアウェー、あたしは新参者。ものすごく気になりつつも、つとめて芋焼酎に集中。
ちょうど頃合いだったこともあり、芋焼酎を1杯飲むまえにこの場はお開きとなった。結局、誰だったのかわからないまま多くの人と別れる。うーん、誰がいたんだろう……。そして近場に宿をとっている残った面子で改めて三次会に出ることに。その面子というのが。
「錦通信」「UNCHARTED SPACE」「政宗九の視点」「くろけんのミステリ博物館」「なまもの!」
現存サイトにも敢てリンクはしない。この並びを見ただけで分かる人には分かるだろう。1996年から97年にかけて、個人ホームページ黎明期にミステリ系サイトを立ち上げたメンバーの顔合わせだ。それがサイト開設から13〜14年経って一堂に会すの図。ちょっと奥さん、これってすごくね? これってなんか、初対面なのに同窓会みたいじゃね? まあ、初対面なのはあたしだけなんだけどさ。
「いいサイトがあったらソースを見て、コピーしたりしてましたよね」
「HTMLのタグを全部手打ちしてましたもんねえ」
「フレームって、初めて見たとき感動しませんでした?」
「ネットするのはテレホーダイの時間だけで」
「ニワトリが絞め殺されるようなモデム音が」
「あの頃ってサイトオーナーも読者も互いに距離の取り方がわからなくて」
「平気で個人情報書いてたよなあ」
「変なメールとかもらったりしたよね」
「でもコメント欄の概念がなかったから、炎上とは無縁だったね」
「そうそう、でもどっかの掲示板で攻撃されてたりして」
あたしらは御一新前を懐かしむ明治の年寄りか。
でもホントにそんな時代だったのよ。なんつーか、同胞感ハンパねえ。このうち二人が作家となり、二人が書評家となり、一人はカリスマ書店員として名を上げた。こんな未来が待ってるなんて、夜中にちまちまとタグを手打ちしていて「おお、太字に出来た」と喜んでいた時代には予想もしてなかったよなあ。ましてや、その面子でこうして飲んでるなんて。ただ単に、井上夢人さんの「99人の最終電車」を読みたいがために始めたネットだったのに。
その後は作家になった「ミステリ博物館」オーナーの初期作品に於ける致命的な欠陥の話とか、「錦通信」オーナーの出世作に於ける深層心理とか、煙草やめたとかやめないとか、結婚してるとかしてないとか、結婚の前に社会人として果たさなくちゃならないことがあるんじゃないのかとか、黒田とあたしのなれそめ(そんなものはない)とかを話しながら夜は更ける。
ただ、いくら小説技法の話とは言え、いいトシした大人が大声で「俺はレイプは好きじゃないな」「ええ、俺はレイプ、いいと思うけどなあ」「そもそもレイプの意味ってさあ」「でも殺人とレイプのどっちがいいかって言ったら」「俺はレイプ好きだけどなあ」なんて話をするのはやめた方が良かった、と今にして思う。
そうそう、このメンバーの共通点がもひとつあった。
みんな、サイトのイメージ、そのまんま。口調も物腰も、すべてあのまんま。
だから初対面って感じがしないのだ。文は人也って、ホントだよなあ。
おっと、ただ、あたしだけは、サイトのイメージよりかなりおとなしくて控えめでキュートで、ちょっぴり寂しがり屋のお茶目な主婦さ、ということだけはお断りしておかねば。
ちなみに、ふと思い出して「錦通信」オーナーに「さっき和民でオオヤさんが、って話してませんでした?」と尋ねたら、アパートの大家さんの話だったことが判明。おお、リアル叙述トリック!
存分に喋ってホテルに戻り、更に部屋で黒田とちょっと飲んで、ようやく長い一日が終わった。初めてのパーティ体験、最後はすっかり、オフ会。さあ、あとは帰るだけだ。
続く。←続くのか!