この本格ミステリベストがすごいのが読みたい!

 宝島社「このミステリーがすごい!2011」と原書房「2011本格ミステリベストテン」が同時に届いた。前に頂戴していた早川書房「ミステリが読みたい2011」週刊文春12/9号を合わせて、投票したランキング本はこれでぜんぶ出そろったことになる。
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 さてこの4つに投票したラインナップだが、その内容は必ずしも同じではない。本格ミステリベストテンの場合はより狭義での投票になるので当然だが、「早ミス」「このミス」「文春」でも微妙に違う。
 「早ミス」と「このミス」は投票〆切に1ヶ月の差があるので、「すすすすみません、これ取りこぼしてました!」というのを「このミス」で救うというケースがあるわけだ。そして更に「文春の読者はおじさんが多そうだから、女性向けコージーはやめとこうかな」みたいな匙加減が働いたりする。

 どっちにしろ、今年読んで面白かった本が5〜6冊だけってわけはないので、4つの媒体を使うことでできるだけ多くの作品を取り上げられればいいかな、と思っている。もちろん「ベストが時と場合で変わるなんておかしい」という考え方もある。それはそれで正しいと思う。が、まあ、あたしの場合は「AとB、どっちも捨てがたいから、このミスと文春で1票ずつね」みたいな考えをとってる次第。

 その結果、4つのどれかに投票したってのをざっくり順不同でまとめると、以下の通り。これがあたしの今年のお薦め一覧と思って戴いてOKよ。

 国内編は初野晴
『空想オルガン』、京極夏彦『死ねばいいのに』、坂木司『和菓子のアン』、門井慶喜『血統』、石持浅海『この国。』、七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』、日明恩『ロード&ゴー』、樋口毅宏『日本のセックス』、水生大海『かいぶつのまち』、本城雅人『スカウト・デイズ』、三津田信三『水魑の如き沈むもの』、大崎梢『背表紙は歌う』、海堂尊『アリアドネの弾丸』、有栖川有栖『闇の喇叭』、綾辻行人『Another』というラインナップ。あ、昨年10月刊行のが入ってるのは「早ミス」だけ対象期間が違うせいです。

 海外編は重なってるものが多く、マーガレット・デュマス
『上手に人を殺すには』、S.J.ローザン『夜の試写会』、カミ『機械探偵クリク・ロボット』、アラン・ブラッドリー『パイは小さな秘密を運ぶ』、ヘレン・マクロイ『殺す者と殺される者』、イアン・サンソム『蔵書まるごと消失事件』、サイモン・カーニック『ノンストップ!』、オットー・ペンズラー編『ポーカーはやめられない』、ジェフリー・ディーヴァー『ロードサイド・クロス』、ナンシー・マーティン『億万長者の殺し方教えます』、スペンサー・クイン『ぼくの名はチェット』、ボストン・テラン『音もなく少女は』、ポール・アルテ『殺す手紙』、コリン・ホルト・ソーヤー『メリー殺しマス』、ジョン・ハート『ラスト・チャイルド』でした。

 あれが入ってないじゃないかという大物がいくつかありますね。普通、『ファージング』と『愛おしい骨』と『陸軍士官学校の死』はどっかに入れるってもんだろ、なあ? でも敢えてそれらをはずしてでもコージーを詰め込みたかった乙女心なのさ。あと、なまもの書評にリンクしようとしたら殆ど書いてないことに気付いてひっくり返った。来年からは心を入れ替えて書きます。書きますとも。

 という規準でいずれも国内編・海外編両方に投票したわけだが──ありゃりゃ? 
「2011本格ミステリベストテン」で海外編、投票したはずなのにあたしのアンケートが載ってないぞ? とツイッターに書いたらば担当の編集さんからソッコーで「漏れておりました申し訳ありません」とメールが来た。わはは。本ミスで投票したのはキネクシスとか化学少女とか読者リクエスト3位の新訳版とか新装版ポケミスの黒いやつとか機々械々とかです。<わかるね?